2017年6月23日 (金)

吉田類の「今宵、ほろ酔い酒場で」

■映画「吉田類の『今宵、ほろ酔い酒場で』」

BS-TBSの「吉田類の酒場放浪記」、たまに見る。年末年始なんて延々と再放送してるからずーっと見続けたりして…。映画版ができたというので、ふらーっと見てまいりましたよ。

ストーリーはこんな感じ。
「運のない人々が集う居酒屋チャンスに、変装した人気アイドルの山下絵里子(松本妃代)が現れる(『居酒屋チャンス』)。妻子が帰省中の会社員・日暮義男(伊藤淳史)は、一人で飲もうとどつぼ酒場に足を踏み入れる(『どつぼ酒場』)。詐欺の容疑が掛かっている会社社長・森本勝也(吉田類)は、通りすがりの居酒屋に入り…(『ふるさと酒場土佐っ子』)。」(シネマトゥデイ)

お店が舞台のテレビ番組の映画化、しかもオムニバス形式…とくれば、たぶん映画版『深夜食堂』みたいな雰囲気かな…とある程度予想していた。実際、この予想は大体当たっていたと思う。基本は酒場にやってくる人にまつわる人情話の三本立てとなっている。

まず最初のエピソードは、仕事にも恋愛にも行き詰っていたアイドルが、見知らぬ居酒屋で元気をもらって帰っていくという話。時間の関係もあってか、本当にそれだけであまり深掘りはない。まあ、冒頭なんで軽いジャブみたいなものであろうか。

二番目のエピソードは、人のいいサラリーマンが不気味な酒場で出会う変わった人々に振り回される話。人情話というよりは、『世にも不思議な物語』のような「都市伝説ミステリー」の味わいが強いかな。リアルというよりコメディータッチに誇張されたパートだったね。

最後のエピソードだけは、やや変則的となる。主人公が一杯の酒を飲み干す間に思い出す「少年時代の故郷の光景」がメインなのだ。酒にまつわる懐かしい記憶。大人がうまそうに飲む酒に興味を持ち、こっそり飲んでみるが、まったくおいしくない…という、多くの人が経験しているであろう体験談などが、美しい自然に囲まれた四国山地の集落を背景に描かれる。ここは一気に物語の広がりが生まれており、まさに映画版ならではの展開といえそうだ。酒場の親父の対応や酒を飲み終えた主人公の選択なども人情話らしくてよい。

もともとフィクションとしての舞台装置がしっかり確立されている『深夜食堂』に対して、「酒場放浪記」はお店探訪のドキュメンタリーであり、そのイメージを壊さないように新たな物語(ストーリー)を一からつくるのはなかなか大変だったのではないだろうか。そう考えると、小品ながらまあまあ無難な仕上がりであり、吉田類ファンなら楽しめるだろう。とりわけ、最後の『ふるさと酒場土佐っ子』のエピソードは、作品の映画としての魅力度を一段アップさせていると思った。

(高知出身の類さんの土佐弁、雰囲気あってよかったね)
Rui

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2017年6月16日 (金)

本館にCDレビュー追加(6/16)

■追加したCDレビュー

つりビット 「Blue Ocean Fishing Cruise」
ラッキーオールドサン 「Belle Epoque」
チャラン・ポ・ランタン 「憧れになりたくて」
LOOΠΔ 「ViVi」
IU 「Palette」

約3カ月ぶりの新作レビュー。すべて4月リリースの作品となります。つりビットはイベントレポは何度か書いてるけど、CDレビューは今回が初めて。また、映画「はらはらなのか。」の主題歌だったチャラン・ポ・ランタンはすべてにおいてお初でしたね。フルアルバム3作はどれも聴き応えありました。

○より詳しい感想は「ガールズ・ドット・ミュージック」でご覧いただけます。

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2017年6月12日 (月)

寺嶋由芙 @池袋ニコニコ本社(6/10)

■本館に追加したライブレポート

6/10 池袋 ニコニコ本社(イベントスペース)

7/12リリース予定の新曲「私を旅行につれてって」の予約イベント。東京ではこの日がお披露目となった新曲&新衣装がハイライトだったんじゃないかな。会場のヲタクだけでなくニコニコ動画のコメントもしっかり見ながら反応するゆっふぃーさん、さすがだわ~。帰りにバースデーワンマンのチケット買っておいた。

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SHE IS SUMMER @新宿タワーレコード(6/10)

■本館に追加したライブレポート

6/10 SHE IS SUMMER 新宿 タワーレコード(インストア)

6/7リリースの2nd-EP「Swimming in the Love E.P.」のプロモーションイベント。お客さんいっぱいで大盛況だったね。といっても、アイドル現場などとは違って前からぎっしり詰めてるわけではないから、ちょっとした空間を見つけて前の方に行くことは可能。着いたのは10分前くらいだったけど、ほぼ真ん中あたりで見ることができたよ。

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2017年6月11日 (日)

sugar me @吉祥寺キチム

■本館に追加したライブレポート

6/9 sugar me 吉祥寺 キチム(ワンマン)

「sugar me ワンマン・ライブ」。アンコールも含めて1時間ちょっとのステージ。ワンマンというほど大げさなものではなく、金曜の夜を音楽で楽しく過ごす気持ちいい集まり…みたいな雰囲気のライブだったんじゃないかな。会場のキチムもそんなステージがぴったりで、またここで聴きたいなと思ったくらい。前年末のワンマンは予定があわなくて行けなかったので、個人的には1年3カ月ぶりの彼女のライブ。改めて良かった。

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2017年6月 9日 (金)

メッセージ

■映画「メッセージ」 日本橋 TOHOシネマズ

何か見たいなということで、劇場で何度も予告編を見ていたこの作品を。

ストーリーはこんな感じ。
「巨大な球体型宇宙船が、突如地球に降り立つ。世界中が不安と混乱に包まれる中、言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は宇宙船に乗ってきた者たちの言語を解読するよう軍から依頼される。彼らが使う文字を懸命に読み解いていくと、彼女は時間をさかのぼるような不思議な感覚に陥る。やがて言語をめぐるさまざまな謎が解け、彼らが地球を訪れた思いも寄らない理由と、人類に向けられたメッセージが判明する…。」(シネマトゥデイ)

原題は「ARRIVAL」。そのまま訳せば「到着」である。異星人(?)とのファーストコンタクトものSFであることをダイレクトにイメージさせるタイトルだ。実際に物語はそんなストーリーを追っていく。わざと派手な演出を抑えたかのような画面が適度な緊張感を生んで非常によい。SF好きならかなりわくわくさせられる導入部である。

しかし、これは単なるファーストコンタクトものではなかった。物語が進むうちに、本作はまったく未知の文明と接触することで人類が次の階梯に一歩を踏み出す瞬間を描く、まさにSFでしか成しえない哲学的、文明論的シミュレーションを内包した作品であることに気づかされるのだ。単なる…ではなく、これこそ「真の」ファーストコンタクトものというべきだろう。

従って、よくある「異星人到着もの」のようなドンパチはほとんどない。ドンは一回だけ、パチも一瞬である。SFXもそうお金がかかっているようには見えないが、それはそこが本題ではないからだろう。本題でないといえば、登場する異星人(?)は、まんまタコのような形態で、そいつがなんとスミを吐いて文字を描く設定になっている。いまさらのタコ宇宙人! しかもスミを吐く!…なんて、普通に考えればお笑いでしかない。要は「そんなことはどうだっていい」という宣言なのである。これは別に宇宙人の姿かたちで驚かせる物語ではない。だから、わざと典型的なありがち造形にしてみせたのだ。

では本題はどこなのか。主人公の言語学者たちが「外国語を学ぶと思考方法が変わる」という学説について会話する場面がある。ロジックは言語によって規定されるから、違う言語を学ぶことで見えてくる世界が変わる…ということだ。その上で、接触してきた異星人の言語を分析すると時制がないことがわかる。どうやら彼らにとって、時間は過去から未来への一方向に流れ去るだけのものではなく、物理的な空間のように俯瞰できるものらしい…。そう考えると、件のタコ型エイリアン(ヘプタポット)は、異星人ではなく「異次元人」なのかも? ただし、そこもまたそう重要なポイントではなく、異星人でも異次元人でも未来人でも何でもいいのである。

この本題の部分に主人公が気づいていくプロセスが、実に映画的で巧みな技法によって表現される。あまりにも巧みで見事なので、最後まで誤解したままの人も一定数発生してしまうくらいだ。Yahoo映画のレビューを見ていると、勘違いしたまま感想を書いている人も散見された。しかし、決して難解というわけではないと思う。むしろ、何度も繰り返し見て考える面白さがある作品だと評価してもいいのではないだろうか。

結末にも深いひねりが加えられている。文明の階梯を上がるということは新たな苦しさとセットだということだ。たとえば、現代の人類は科学を手に入れた結果、それまではまったく必要なかった地球環境破壊の心配をしなくてはいけなくなっている。同様に、ヘプタポットがもたらした言語の力で時間のしばりから解放されたとしても、今度は未来が過去のことのようにわかってしまった上で、人はどのように生きていけばいいのか…という苦しみが生じることになる。

本作はそうしたSFならではの哲学的シミュレーションの荒々しさと、映画らしい詩的かつ人間的な結末の美しさをうまく融合させている。SF=ドンパチではないということを改めて理解させてくれる、とても洗練された秀作だと思った。

(音楽、音響効果も素晴らしい。ぜひ劇場でその音場を体験したい作品でもある)
Messe

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2017年6月 7日 (水)

ハナエ @下北沢BasementBar

■本館に追加したライブレポート

6/4 ハナエ 下北沢 BasementBar(ワンマン)

「HANAE 6th Anniversary Live “INTO LOVE”」。デビュー6周年の節目のワンマン。実はこの日の会場はハナエさんが上京後に初めてライブハウスに出演した店だった。つまり彼女にとっての原点。初心に戻ってリスタートという気持ちが伝わってくる熱いライブだったね。とてもレアなデビュー曲も聴けたし、これからにつながる初披露の新曲も2曲。聴き応えあったわ~!

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2017年6月 5日 (月)

ラッキーオールドサン @下北沢shelter

■本館に追加したライブレポート

6/3 ラッキーオールドサン 下北沢 shelter(ワンマン)

4月リリースの2ndフルアルバム「Belle Epoque」のレコ発ワンマン「佳き時代に生まれたね」。アルバムは素晴らしい出来だし、ファンが押し寄せてshelterじゃ入りきれないだろ!とか思ってたのですが、行ってみるとそこまでギュウギュウじゃなかったね…。でも、内容はアコースティック&バンドの二部構成で非常に充実したもの。これからじわじわくるんじゃないかな~。

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2017年5月30日 (火)

皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ

■映画「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」 有楽町 ヒューマントラストシネマ

少し前に新聞で紹介されていたのを読んで。いちおう予告編はネットでチェックしてから見に行った。イタリア映画。

ストーリーはこんな感じ。
「テロが頻発するローマ郊外。チンピラのエンツォ(クラウディオ・サンタマリア)は、ひょんなことから人知を超えた力を手に入れる。ある日、エンツォが慕う“オヤジ”が殺害されてしまう。オヤジの娘のアレッシアは、エンツォを日本製アニメ『鋼鉄ジーグ』の主人公・司馬宙だと思い込み、二人の距離は少しずつ近づいていく。そんな中、闇の組織のリーダー・ジンガロ(ルカ・マリネッリ)の脅威が迫る…。」(シネマトゥデイ)

『鋼鉄ジーグ』は1970年代の日本のロボットアニメ。原作は永井豪。…と言われてもほとんど記憶になかった。その後、イタリアでも放送されてかなり人気があっただそうだ。事前に読んだ新聞記事でも、本作を「ロボットアニメなど日本のサブカルチャーから影響を受けた作品」と紹介していた。

ただ、まず断っておきたいのは、本作は『鋼鉄ジーグ』の実写化でもないし、『鋼鉄ジーグ』を知らないと楽しめない(あるいは知っていた方がより楽しめる)ような映画でもないということ。日本のアニメなどに影響を受けているのは確かだろうが、直接作品に取り入れているのではなく、インスパイアされた上で自分ならではの作品世界を作っている…というのが正しいのだろうと思う。
どこの国でもそうだろうが、今や世界中のさまざまなコンテンツがテレビやネットを通じて流れ込み、それが地元の伝統や文化と交配され、各地で独自の新しいカルチャー空間を生み出している。それこそがまさに「現代」であり、この映画は「イタリアの現代」を感じさせてくれる作品の一つなのだろうという気がした。

映画全体の印象は「ノワール」に近いかな。主人公エンツォをはじめ、登場人物はほぼ全員チンピラやヤクザ、あるいはその関係者だ。イタリアというとマフィアというイメージだが、スーツをびしっと着込んだ「ゴッドファーザー」に出てくるようなマフィアではなく、ストリートファッションに身を包んだ、本当にチンピラとかヤクザと表現したくなるような、街の悪党みたいな連中ばかりである。
軸となるストーリーは、麻薬の密輸で行き違いが生じ、それを手伝っていたエンツォたちは、組織から横領の疑いをかけられて追われるようになる…というもの。いってみれば犯罪組織の内部抗争ものだ。そこに超人的な力を得たエンツォがどう行動するか…というテーマが絡んでいく。彼はアメリカンヒーローのようにすぐに正義に目覚めるわけではない。本作はいわば「ヒーロー誕生」の前日譚であり、「エピソード0」といったところである。

結論からいえばヒーローもの的な痛快さというよりも、現代イタリアのインディー映画(だと思う。少なくとも大作映画ではない)が描く世界観のおもしろさで見せられた感じだったかな。全体的にはノワール映画らしい暗さや閉塞感みたいなものを漂わせつつ、細かいところでは妙にユーモラスな表現やリアルな暴力シーン、ややグロいシーンなどもある。心を病んでる娘との奇妙な恋愛感情などもなかなか切ない…。
このへんのノリには、サブカルチャー的というか、世界共通のインディー映画らしいモードとイタリアらしいんだろうなと思えるところが混然となっていて独特の味わいを生み出している。深掘りすると永井豪作品のダークな側面との共通点もあるのかもしれない。

ちょっと気になったのは、主人公が不死身の身体を手に入れたのは、不法投棄されていた放射性物質に触れたからという設定。ちと単純すぎるというか、放射能への誤解を招きかねない表現という気もするのだが…あまり細かいところを突っ込むのも野暮というものだろうか。

(この観覧車のシーンは美しい。見終わった後でじわじわくるような場面が多かったね)
Jeeg

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2017年5月29日 (月)

バニラビーンズ @渋谷Glad(5/28)

■本館に追加したライブレポート

5/28 バニラビーンズ 渋谷 Glad(ワンマン)

「バニラビーンズ定期公演 vol.2 ~Road to 10th Anniversary~」。昼はトークライブ、夜がライブの二部構成。参加したのはライブの方。もちろんこちらにもトーク成分がたっぷり含まれている。そのMCでは、9月のレナさんの誕生日に何かやりたい…という気運が盛り上がる。ちょうど大きな節目にアイドルらしく「生誕祭」…いいかもね!

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2017年5月20日 (土)

ラッキーオールドサン @新宿タワーレコード(5/20)

■本館に追加したライブレポート

5/20 ラッキーオールドサン 新宿 タワーレコード(インストア)

4月リリースの2ndフルアルバム「Belle Epoque」のプロモーションイベント。バンドセットでみっちり7曲。いわゆる対バンイベントの30分ステージよりも聴き応えあったんじゃないかな~。アルバムの充実した内容そのままの非常に密度の高いライブだったね。土曜の12時という浅い時間帯のイベントだったけど気合い入ってたわ。ワンマンがますます楽しみになってきたね。

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2017年5月17日 (水)

カフェ・ソサエティ

■映画「カフェ・ソサエティ」 日比谷 みゆき座

劇場で見た予告編はいまいちだったのだが、新聞の映画評がわりと良かったで。

ストーリーはこんな感じ。
「1930年代。ボビー(ジェシー・アイゼンバーグ)は、刺激にあふれた人生を送りたいと願い、生まれ育ったニューヨークからハリウッドに向かう。映画業界のエージェントとして成功している叔父フィルのもとで働くボビーだったが、やがて叔父の秘書を務める美しいヴォニー(クリステン・スチュワート)のとりこになる。彼女との距離が縮まるにつれ結婚まで考えるようになるボビー。しかし、彼女にはひそかに付き合っている男性がいた…。」(シネマトゥデイ)

脚本・監督はウディ・アレン。80代になった今もバリバリの現役。というわけで作品は多いが、考えてみるとあまりちゃんと見たことがない監督でもあった。テレビ放映されたようなのは別として、劇場できっちり見たことはないかも…。

そんなわけで「ウディ・アレン初心者」の感想としては、非常にありきたりだが、アメリカ文学の短編小説を読んだような気分になる映画…そんな表現がぴったりだと思った。

上映時間は96分。もともとそう長い映画ではない。語りがけっこう多用されていて、ストーリーをどんどん進めていく。普通なら「語りの多用」「説明ゼリフ」などは素人くさい作劇法の代表という感じで、その段階で「うーん」と感じてしまうところだろう。しかし、本作ではそう思わせないところが、やはり百戦錬磨の監督の手腕なんだろうね。全編に流れる軽快なジャズ音楽とともに必要なエピソードをサクサクと積み上げていく。ギャングが人を殺す場面でさえ、郵便配達が郵便受けに封筒を投げ込むような感覚でテンポよく描かれる。その結果として生まれているのが、「アメリカ文学の短編小説」のようなすっきりとして乾いた感じ、それでいてとても小粋な印象なのだろう。

物語はハリウッドを舞台とする前半とニューヨークでの後半に大きく分かれる。ハリウッドでは奇妙な三角関係を伴った恋愛が描かれる。ナイーブな主人公ボビーの目線から見ていると、なかなか切ない展開となる。彼は心に痛手を負って故郷ニューヨークに戻る。ナイトクラブの仕事に就いたボビーはいっぱしの男に成長する。結婚もして子供も生まれた。自信に満ちた人生だ。そんな時、ハリウッド時代の恋人と再会する。ボビーはまだ彼女のことが忘れられないでいる自分に気づく…。

サクサクとしたタッチで進んできた物語が急に「人生のホロ苦さ」を感じさせるものになる。演出のテンポも音楽の使い方もそれまでと何も変えてないのに。この映画で描かれている事件は、多少状況設定を変えれば、おそらく誰の身の上にも起こりうることだろう。物語の結末に大きな展開はなく、ただじわりと広がる余韻だけを残して映画は終わる。これこそ大河小説ではない、都会的な短編小説の味わいであろう。比較的短い上映時間もそんな題材にぴったり。「小品ならではの良さ」が出た作品だと思った。

ストーリー以外の部分も魅力的だったね。出演者はみんなはまり役。主人公の恋人役と結婚相手役、二人の女優さんもそれぞれにチャーミングでよかった。また、1930年代のファッションや音楽、風景や街並みの描写も素晴らしかった。やはり、映画はこういう「今ではもう見ることのできない時代」を見せてくれるエンターテインメントでもある。このへんの時代が好きな人なら文句なしに楽しめるだろう。

一方、映画本編とは関係ない話ではあるのだが、日本版の予告編はいろんな意味でこの映画の良さを伝えきれてなかった気がした。おそらく予告編だけだったらこの作品を見ることはなかっただろうし、見始めてからも「なんか予告編でやってた話と違うな…」という感覚があったりして、予習に役立つどころか逆にノイズ化していたような気も…。

(夜明けのセントラルパークでワインを…というお洒落なシーン!)
Cafe

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2017年5月13日 (土)

PARKS パークス

■映画「PARKS パークス」 テアトル新宿

吉祥寺にある「井の頭公園」が100周年を迎えることを記念して製作された映画。自分でも土地勘のある地域が舞台なのと、主演・橋本愛さんだったら見てみたいな…ということで。

ストーリーはこんな感じ。
「吉祥寺で一人暮らしをする大学生の純(橋本愛)は、亡くなった父親の恋人だった女性・佐知子(石橋静河)を捜す高校生ハル(永野芽郁)に出会う。佐知子の孫・時夫(染谷将太)が探し出した遺品のオープンリールテープを再生すると、佐知子とハルの父・晋平(森岡龍)の歌声が録音されていた。純たちは途中までしか聴き取れないその曲を完成させたいと思うのだが…。」(シネマトゥデイ)

見る前から一つ疑問に思っていたことがあった。「井の頭公園」がテーマの映画なのに、タイトルが「PARKS」と複数形になっている。これはどういうことなのか? 井の頭公園だけにスポットライトを当てるなら「THE PARK」、あるいはシンプルに「PARK」でいいのではないか…。

しかし、映画を見ているうちにこの謎は自然に解けていった。「PARKS」とは、1960年代にこの公園で歌っていた晋平と佐知子、そしてサポートの健太(おそらく後の大家さん)を含めた「ユニット」の名前なのだと。音楽のグループ名なら複数形はごく自然だ。彼らが具体的に「PARKS(パークス)」を名乗るシーンはない。しかし、この映画が「公園と音楽」をテーマにしていることがわかってくると、そのことに何の疑問も挟む余地はないような気がした。

そして、晋平や佐知子たちの残した音楽を現代に引き継いだ純や時夫もまた「PARKS」なのである。いや、ひょっとしたら公園が生まれてからの100年間に井の頭公園で音楽を奏でたすべての人が「PARKS」なのかもしれない。純たちが付け加えた新しいサビのフレーズ、「♪Park Music~」という歌詞がそれを象徴している。多くの人が集まっては散っていく公園という場所。何もない空間だからこそ人の思いを受け止める容器となり、その思いは歌となって時代を超える。非常にロマンチックなテーマであり、公園の100周年記念にふさわしい物語といえるだろう。

というわけで題材はとても良いと思うのだが、映画としては(特に脚本に)整理されてない部分が目立ったかな。

そのうちの一つは「ハル」の扱いだろう。彼女は晋平の娘として実在しているようにも見えるし、自分たちの音楽を引き継いでほしいという初代「PARKS」の願いが凝って生まれたスピリチュアルな存在のようにも見える。これはたぶん後者だろう。物語の終盤、彼女が純のアパートから飛び出した時、何台もの自転車がその身体をすり抜けるように走っていく。自転車に乗っている人たちにはおそらく彼女の姿は見えなかったのだ…。だとしたら、ハルはあのままどこかへ消えてしまうだけでもよかったのではないだろうか。その後、ちょっとごちゃごちゃしすぎな気がした。また、ハルの書いた小説によって映画自体が「メタ」的な展開になる部分。あそこも意図がすっきりとは伝わってこないような…。

他にも、終盤に大家さんが亡くなって、奇しくも初代「PARKS」があいついで天国に召される展開。ここも別に死なさなくてもいいのにと思ってしまったり。出演者や劇中にたくさん流れる音楽などは良かっただけに軸になる脚本の詰めの部分が惜しかった。

逆に単純に楽しめたのは、何といっても井の頭公園を含む吉祥寺のご当地映画らしいところ。比較的メジャーな場所での撮影が多く、そこまで詳しくない人でも「あ、あの場所だ」とわかるのではないだろうか。ロケ地巡りとかしてもおもしろそう。ちなみに、キチフェスのシーンのライブハウスは「スターパインズカフェ」だったね。スカート・澤部氏の存在感にも思わずニヤリ…。

(ところで三人が収集した街や自然のサウンドは楽曲にどう使われたのだろうか)
Parks

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2017年5月11日 (木)

フィロソフィーのダンス、バニラビーンズ、callme、さきどり発信局 @渋谷O-WEST

■本館に追加したライブレポート

5/10 フィロソフィーのダンス、バニラビーンズ、callme、さきどり発信局 渋谷 O-WEST

「e pop gallery supported by Leadi」。バニラビーンズのスケジュールで知り、今まであまり見る機会がなかったcallme、フィロソフィーのダンス…なども出演するということで。会場に入って感じたのは「平日の対バンイベントってこんなに空いてるの?」ということ。ワンマンだとそこそこの会場が一杯になるような出演者でも余裕で2列目、3列目あたりで見られてしまうという…。見ごたえあったわ~。

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2017年5月 9日 (火)

Softly、宇宙まお、ちさ @渋谷gee-ge

■本館に追加したライブレポート

5/7 Softly、宇宙まお、ちさ 渋谷 gee-ge

ちさ presents 「つながりたガール vol.2」。お目当てはSoftly。GW最終日にもかかわらず満員の大盛況イベントでしたね。最後に出演者全員によるセッションも。Softlyでは作曲・ギター担当で、普段はコーラスくらいしか聴けないHARUKAさんのソロがあったのはファンにはうれしかったね~。6月にミニアルバム、7月にはワンマン。どっちも今から楽しみ!

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