2017年5月20日 (土)

ラッキーオールドサン @新宿タワーレコード(5/20)

■本館に追加したライブレポート

5/20 ラッキーオールドサン 新宿 タワーレコード(インストア)

4月リリースの2ndフルアルバム「Belle Epoque」のプロモーションイベント。バンドセットでみっちり7曲。いわゆる対バンイベントの30分ステージよりも聴き応えあったんじゃないかな~。アルバムの充実した内容そのままの非常に密度の高いライブだったね。土曜の12時という浅い時間帯のイベントだったけど気合い入ってたわ。ワンマンがますます楽しみになってきたね。

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2017年5月17日 (水)

カフェ・ソサエティ

■映画「カフェ・ソサエティ」 日比谷 みゆき座

劇場で見た予告編はいまいちだったのだが、新聞の映画評がわりと良かったで。

ストーリーはこんな感じ。
「1930年代。ボビー(ジェシー・アイゼンバーグ)は、刺激にあふれた人生を送りたいと願い、生まれ育ったニューヨークからハリウッドに向かう。映画業界のエージェントとして成功している叔父フィルのもとで働くボビーだったが、やがて叔父の秘書を務める美しいヴォニー(クリステン・スチュワート)のとりこになる。彼女との距離が縮まるにつれ結婚まで考えるようになるボビー。しかし、彼女にはひそかに付き合っている男性がいた…。」(シネマトゥデイ)

脚本・監督はウディ・アレン。80代になった今もバリバリの現役。というわけで作品は多いが、考えてみるとあまりちゃんと見たことがない監督でもあった。テレビ放映されたようなのは別として、劇場できっちり見たことはないかも…。

そんなわけで「ウディ・アレン初心者」の感想としては、非常にありきたりだが、アメリカ文学の短編小説を読んだような気分になる映画…そんな表現がぴったりだと思った。

上映時間は96分。もともとそう長い映画ではない。語りがけっこう多用されていて、ストーリーをどんどん進めていく。普通なら「語りの多用」「説明ゼリフ」などは素人くさい作劇法の代表という感じで、その段階で「うーん」と感じてしまうところだろう。しかし、本作ではそう思わせないところが、やはり百戦錬磨の監督の手腕なんだろうね。全編に流れる軽快なジャズ音楽とともに必要なエピソードをサクサクと積み上げていく。ギャングが人を殺す場面でさえ、郵便配達が郵便受けに封筒を投げ込むような感覚でテンポよく描かれる。その結果として生まれているのが、「アメリカ文学の短編小説」のようなすっきりとして乾いた感じ、それでいてとても小粋な印象なのだろう。

物語はハリウッドを舞台とする前半とニューヨークでの後半に大きく分かれる。ハリウッドでは奇妙な三角関係を伴った恋愛が描かれる。ナイーブな主人公ボビーの目線から見ていると、なかなか切ない展開となる。彼は心に痛手を負って故郷ニューヨークに戻る。ナイトクラブの仕事に就いたボビーはいっぱしの男に成長する。結婚もして子供も生まれた。自信に満ちた人生だ。そんな時、ハリウッド時代の恋人と再会する。ボビーはまだ彼女のことが忘れられないでいる自分に気づく…。

サクサクとしたタッチで進んできた物語が急に「人生のホロ苦さ」を感じさせるものになる。演出のテンポも音楽の使い方もそれまでと何も変えてないのに。この映画で描かれている事件は、多少状況設定を変えれば、おそらく誰の身の上にも起こりうることだろう。物語の結末に大きな展開はなく、ただじわりと広がる余韻だけを残して映画は終わる。これこそ大河小説ではない、都会的な短編小説の味わいであろう。比較的短い上映時間もそんな題材にぴったり。「小品ならではの良さ」が出た作品だと思った。

ストーリー以外の部分も魅力的だったね。出演者はみんなはまり役。主人公の恋人役と結婚相手役、二人の女優さんもそれぞれにチャーミングでよかった。また、1930年代のファッションや音楽、風景や街並みの描写も素晴らしかった。やはり、映画はこういう「今ではもう見ることのできない時代」を見せてくれるエンターテインメントでもある。このへんの時代が好きな人なら文句なしに楽しめるだろう。

一方、映画本編とは関係ない話ではあるのだが、日本版の予告編はいろんな意味でこの映画の良さを伝えきれてなかった気がした。おそらく予告編だけだったらこの作品を見ることはなかっただろうし、見始めてからも「なんか予告編でやってた話と違うな…」という感覚があったりして、予習に役立つどころか逆にノイズ化していたような気も…。

(夜明けのセントラルパークでワインを…というお洒落なシーン!)
Cafe

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2017年5月13日 (土)

PARKS パークス

■映画「PARKS パークス」 テアトル新宿

吉祥寺にある「井の頭公園」が100周年を迎えることを記念して製作された映画。自分でも土地勘のある地域が舞台なのと、主演・橋本愛さんだったら見てみたいな…ということで。

ストーリーはこんな感じ。
「吉祥寺で一人暮らしをする大学生の純(橋本愛)は、亡くなった父親の恋人だった女性・佐知子(石橋静河)を捜す高校生ハル(永野芽郁)に出会う。佐知子の孫・時夫(染谷将太)が探し出した遺品のオープンリールテープを再生すると、佐知子とハルの父・晋平(森岡龍)の歌声が録音されていた。純たちは途中までしか聴き取れないその曲を完成させたいと思うのだが…。」(シネマトゥデイ)

見る前から一つ疑問に思っていたことがあった。「井の頭公園」がテーマの映画なのに、タイトルが「PARKS」と複数形になっている。これはどういうことなのか? 井の頭公園だけにスポットライトを当てるなら「THE PARK」、あるいはシンプルに「PARK」でいいのではないか…。

しかし、映画を見ているうちにこの謎は自然に解けていった。「PARKS」とは、1960年代にこの公園で歌っていた晋平と佐知子、そしてサポートの健太(おそらく後の大家さん)を含めた「ユニット」の名前なのだと。音楽のグループ名なら複数形はごく自然だ。彼らが具体的に「PARKS(パークス)」を名乗るシーンはない。しかし、この映画が「公園と音楽」をテーマにしていることがわかってくると、そのことに何の疑問も挟む余地はないような気がした。

そして、晋平や佐知子たちの残した音楽を現代に引き継いだ純や時夫もまた「PARKS」なのである。いや、ひょっとしたら公園が生まれてからの100年間に井の頭公園で音楽を奏でたすべての人が「PARKS」なのかもしれない。純たちが付け加えた新しいサビのフレーズ、「♪Park Music~」という歌詞がそれを象徴している。多くの人が集まっては散っていく公園という場所。何もない空間だからこそ人の思いを受け止める容器となり、その思いは歌となって時代を超える。非常にロマンチックなテーマであり、公園の100周年記念にふさわしい物語といえるだろう。

というわけで題材はとても良いと思うのだが、映画としては(特に脚本に)整理されてない部分が目立ったかな。

そのうちの一つは「ハル」の扱いだろう。彼女は晋平の娘として実在しているようにも見えるし、自分たちの音楽を引き継いでほしいという初代「PARKS」の願いが凝って生まれたスピリチュアルな存在のようにも見える。これはたぶん後者だろう。物語の終盤、彼女が純のアパートから飛び出した時、何台もの自転車がその身体をすり抜けるように走っていく。自転車に乗っている人たちにはおそらく彼女の姿は見えなかったのだ…。だとしたら、ハルはあのままどこかへ消えてしまうだけでもよかったのではないだろうか。その後、ちょっとごちゃごちゃしすぎな気がした。また、ハルの書いた小説によって映画自体が「メタ」的な展開になる部分。あそこも意図がすっきりとは伝わってこないような…。

他にも、終盤に大家さんが亡くなって、奇しくも初代「PARKS」があいついで天国に召される展開。ここも別に死なさなくてもいいのにと思ってしまったり。出演者や劇中にたくさん流れる音楽などは良かっただけに軸になる脚本の詰めの部分が惜しかった。

逆に単純に楽しめたのは、何といっても井の頭公園を含む吉祥寺のご当地映画らしいところ。比較的メジャーな場所での撮影が多く、そこまで詳しくない人でも「あ、あの場所だ」とわかるのではないだろうか。ロケ地巡りとかしてもおもしろそう。ちなみに、キチフェスのシーンのライブハウスは「スターパインズカフェ」だったね。スカート・澤部氏の存在感にも思わずニヤリ…。

(ところで三人が収集した街や自然のサウンドは楽曲にどう使われたのだろうか)
Parks

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2017年5月11日 (木)

フィロソフィーのダンス、バニラビーンズ、callme、さきどり発信局 @渋谷O-WEST

■本館に追加したライブレポート

5/10 フィロソフィーのダンス、バニラビーンズ、callme、さきどり発信局 渋谷 O-WEST

「e pop gallery supported by Leadi」。バニラビーンズのスケジュールで知り、今まであまり見る機会がなかったcallme、フィロソフィーのダンス…なども出演するということで。会場に入って感じたのは「平日の対バンイベントってこんなに空いてるの?」ということ。ワンマンだとそこそこの会場が一杯になるような出演者でも余裕で2列目、3列目あたりで見られてしまうという…。見ごたえあったわ~。

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2017年5月 9日 (火)

Softly、宇宙まお、ちさ @渋谷gee-ge

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5/7 Softly、宇宙まお、ちさ 渋谷 gee-ge

ちさ presents 「つながりたガール vol.2」。お目当てはSoftly。GW最終日にもかかわらず満員の大盛況イベントでしたね。最後に出演者全員によるセッションも。Softlyでは作曲・ギター担当で、普段はコーラスくらいしか聴けないHARUKAさんのソロがあったのはファンにはうれしかったね~。6月にミニアルバム、7月にはワンマン。どっちも今から楽しみ!

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2017年5月 3日 (水)

春奈るな @台場 Zepp ダイバーシティ東京

■本館に追加したライブレポート

5/2 春奈るな 台場 Zepp ダイバーシティ東京(ワンマン)

2012年5月2日にデビューしてちょうど5年。春奈るなさんの「5周年」を記念したワンマン「LIVE 2017 "5th Anniversary Fes." with you」は、ゲストにAKIRAさん、KOTOKOさん、妄想キャリブレーションちゃんたちを迎えた豪華なステージ! この日は椅子が出ていて自由席。最後の方に入ったのだけど、たまたま比較的前方に空席があって、けっこう良い位置で見ることができたのも楽しめた一因だったかも。良かったわ~。

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2017年5月 1日 (月)

Cupitron @青山RizM

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4/30 Cupitron 青山 RizM(ワンマン)

約1年ぶりに開催されたキュピトロンのワンマンライブ「Galaxy Party」。たぶんこれまでの彼女たちのライブとしては最多の曲数だったんじゃないだろうか。素晴らしく充実した内容だったね。
会場の青山RizM(リズム)はこの日がお初。メトロの青山一丁目駅から徒歩2分くらいで場所もとても便利(Ruido系の店)。ステージが高めで見やすいのも良かったね。ただし、ドリンク代600円とややお高めなのにソフトドリンクしか提供されない(終演後だったから?)。このへんは「うーん」という感じであります。

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バニラビーンズ @渋谷マルイ(4/30)

■本館に追加したライブレポート

4/30 バニラビーンズ 渋谷 マルイ(屋上)

「GWスパシャルイベント 写ルンです撮影会」。一部でブーム再燃が伝えられてる「写ルンです」でバニビを撮影できちゃうイベント。もちろんミニライブ中も撮影OK! 初夏を思わせる好天で気持ちいい屋上イベントだったね。この後、5月は28日のワンマンまでイベントなしというバニビちゃん。行ってよかった。

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2017年4月23日 (日)

The Pen Friend Club、RYUTist、バニラビーンズ @新宿タワーレコード

■本館に追加したライブレポート

4/22 The Pen Friend Club、RYUTist、バニラビーンズ 新宿 タワーレコード(インストア)

「The Pen Friend Club×RYUTist」「The Pen Friend Club×バニラビーンズ」。二種類のスプリット7インチの発売記念インストア。普段、この組み合わせはなかなか見られない!…ということでレアなステージに集まったお客さんで満員だったね。早めに行ったので立ち位置はまあまあだったけど、最後のバニラビーンズの出番前に、ステージ前にいたRYUTistファンらしき人たちが場所を空けてくれたので、さらに良い位置で見ることができた。ありがたし!

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2017年4月19日 (水)

本館にCDレビュー追加(4/19)

■追加したCDレビュー

RYUTist 「RYUTist HOME LIVE」
空中分解 feat.アンテナガール 「ルミナスター」
佐藤史果 「All for you」
IU 「Last Fantasy」
井上昌己 「precious moment」

前回の更新に引き続いての「旧譜特集PART2」。2009~2015年頃にリリースされた作品で、いずれもしばらくしてから聴いたもの。旧譜というのは買うとそれだけで満足してしまうところもあって、最初に一通りは聴くものの、それきりになっていた作品も正直あったりしました。今回レビューを書くためにじっくり聴き込めたのはとてもいい経験でしたね。

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2017年4月17日 (月)

つりビット @吉祥寺ヨドバシカメラ(4/16)

■本館に追加したライブレポート

4/16 つりビット 吉祥寺 ヨドバシカメラ(2Fイベントスペース)

4/5リリースの2ndアルバム「Blue Ocran Fising Cruise」のプロモーションイベント(最終日)。今回つりビットの音源を初めて買ったこともあり、ライブでも聴いてみよう…ということで。2回ステージを2回とも見てきたよ。リリイベラストということでアンコールもこなして全11曲、かぶりなしで聴けたのは良かったね!

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2017年4月16日 (日)

グレートウォール

■映画「グレートウォール」 日比谷 TOHOシネマズシャンテ

予告編の段階でけっこうブッ飛んでたのと新聞の映画評が良かったので。見たのは公開翌日。土曜の朝からお客さん多かったね。

ストーリーはこんな感じ。
「世界を旅する傭兵、ウィリアム(マット・デイモン)らは、シルクロードの中国国境付近で謎の獣に襲われる。生き残ったウィリアムとトバール(ペドロ・パスカル)は、精強な禁軍が守る万里の長城にたどり着く。軍師のワン(アンディ・ラウ)によって処刑を免れたウィリアムたちは、自分たちを襲った獣が饕餮(とうてつ)という怪物であり、万里の長城はその大群を都に入れないための防壁だと知る。やがてすさまじい地響きと共に無数の獣たちが迫ってきた…。」(シネマトゥデイ)

「万里の長城」といえば、歴史的には北方からの遊牧民族の侵入に備えて築かれたものだが、本作では長城にまつわる伝説の一つ、「異形のモンスターを防ぐためのものだった」説を100%採用。歴史スペクタクルかつアドベンチャーファンタジーともいえる異色作だが、それをアメリカ・中国の合作で徹底したエンターテインメント作品に仕上げている。こういう映画は四の五の言わずに楽しむしかない。実際にスピード感のある展開で最初から最後まで一気に見せられた!

やはり見どころは長城を守る守備隊とモンスター・饕餮の大群の戦いだろう。とりわけ、捕らえられた主人公たちには「何かが襲ってくる」ということしかわからない状況の中で、戦闘の準備が着々と進められるあたりの緊張感がなんともいえない。そして、実際に戦いが始まってようやく姿を見せた敵の数のすごさ。まさに雲霞の如き大群だ。それに対して守備隊もこれぞ中国という感じの人海戦術で応戦する。当然CGなのだろうが、ごまかさずに正攻法で撮っているところにまず感心する。

ロープを使って宙を飛びながら攻撃する女性兵士の部隊は『進撃の巨人』オマージュだろうか? 霧の中から大口を開けたモンスターが飛びかかってくるあたりは『ジョーズ』(サメもの)映画の雰囲気も。主人公のウィリアムが弓の名手という設定はやはり『ウィリアム・テル』なんだろうね。終盤、地下水路での攻防戦は『エイリアン2』だな~と思ったり。他にも映画好きの人にはたまらない遊びがいっぱい散りばめられていそうだ。

物語は主人公たちが長城に入ってからほんの数日の出来事がすべて。サブストーリーは、当時の最先端兵器である「黒色火薬」の秘密を盗み出す話くらい。ついつい入れたくなる主人公と女隊長との恋愛感情みたいなのもごくごく淡いタッチに抑えている。シンプルでわかりやすいストーリーに絞り込んでるところがいいね。
欲をいえば、饕餮のクリーチャー造形があまり中国っぽくないので、もうちょっと何とかしてほしかった気はしたかな…。特に大ボス(女王)とかね。まあ、全体的には歴史考証なども含め細かいことを言う映画ではないので、突っ込みどころもおもしろがるくらいでちょうどいいのかも。スカッとできる痛快作だ!

(話自体はB級っぽいけど主役をはじめスター俳優を使ってるから絵柄が豪華!)
Gw

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2017年4月11日 (火)

パッセンジャー

■映画「パッセンジャー」 渋谷 TOHOシネマズ

けっこう前から劇場で予告編を何度も見ていた作品。ドンパチ系じゃないSF映画もいいな…ということで。

ストーリーはこんな感じ。
「20XX年、新たなる居住惑星をめざし、5000人を乗せた豪華な宇宙移民船アヴァロン号は地球を後にした。到着までは120年。しかし、冬眠装置で眠る乗客のうちエンジニアのジム(クリス・プラット)と作家のオーロラ(ジェニファー・ローレンス)だけが目覚めてしまう。予定より90年も早く…。絶望的な状況を打破しようとする二人だったが…。」(公式サイトより)

巨大な宇宙移民船。SFにはよく登場するアイテムだが、その内部をつぶさに描いた作品は初めて見たかもしれない。なぜなら恒星間飛行には非常に長い年月が必要であり、その間は乗務員も乗客も人工冬眠している…という設定が一般的だからだ。みんな眠っている状況では物語にならない。しかし、一人だけ予定外に目覚めてしまったら…。これもまた宇宙を舞台にした「ロビンソン・クルーソー物語」といえるだろう。

宇宙でのロビンソン・クルーソー生活といえば、約1年前に見た『オデッセイ』もそうだった。しかし、同作が「DIYしながら救出を待つ」物語だったのに対して、本作は「高級ホテル並みの環境はあるものの救出は最初から望めない」という大きな違いがある。外部から隔絶され、たった一人だけの世界で、人は何を支えに生きていけばいいのか…? ここで生じる主人公の葛藤こそまさに「究極のロビンソン・クルーソー」のテーマかもしれない。SF好きとしてはかなりわくわくできるストーリーになっている。

そして後半、もう一人の乗客、オーロラが覚醒して以降の物語は、いわば「セカイ系」といっていいのではないだろうか。ジムとオーロラ、目覚めている人間がたった二人しかいない巨大宇宙船はそこだけで完結した「世界そのもの」。しかし、その「世界」は破滅の危機に瀕していることがわかる。「きみとぼく」の関係性がダイレクトに世界の命運を握る。前半はSF的な思索が中心であり、後半は一気にエンターテインメントとなる。バランスのいい作品でおもしろく見ることができた。

ただ、せっかくSF的設定が魅力の作品なのに、ちょいちょいご都合主義的なところがあるのは若干気になったかな。たとえば、小惑星のようなものに衝突して最初の事故が起こるのだが、重要なシステムには何重ものバックアップが用意されるのが当たり前ではないのか。設計が杜撰すぎる。また、バーテンダーやウェイターのロボットがいるのに、なぜ故障修理ロボットがいないのかも理解できない。万一システムが破損しても修理するロボットがいれば問題はなかったのである。

さらにいえば、目的地までの120年間起動する必要のない客室の全システムが、たった一人アクシデントで覚醒しただけですべて対応する…というのもありえないのではないだろうか。こういう現代人が考えても「ちょっとどうなの?」と思うような穴があると、SFとしての詰めの甘さを感じてしまうことになる。このへんはもっとしっかり練り込んでほしかったね。

逆に、登場人物が極端に少ないのに飽きさせない物語展開はなかなか良かった。主人公にうしろめたいところがあってハラハラさせられるところとかね。オーロラ役のジェニファー・ローレンスはとても魅力的で、「こういう女性と二人きりで暮らせたら…」という妄想刺激ドラマとしてもおもしろい。「ロビンソン・クルーソー」にも憧れるが、どっちが楽しいかといえば「青い珊瑚礁」に決まっているのだ。その意味では結末はファンタジーでもある。そんな気がした。

(この宇宙服の耐熱性がすごい。思わず「まじか!そうきたか!」と言いたくなった)
Pass_2

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2017年4月 7日 (金)

本館にCDレビュー追加(4/7)

■追加したCDレビュー

高浪慶太郎とプレイタイム・ロック・ミーツ・柴田健一 「EVENING PRIMROSE」
さよならポニーテール 「モミュの木の向こう側」
Arcorhyme 「甘い日々-La Douce Vie-」
O's 「あなたとならば」
世理奈 「世理奈」

今回は「旧譜特集」。リリースされたのは2005年~2012年の盤ですが、買ったのはいずれもこの数年という感じかな。けっこう好きなアーチストなのになぜか買い漏らしてた盤…というのは意外とあります。リリースから時間がたっていてタイムリーじゃないのでレビューを書いてない音源、他にもけっこうあるので機会があればまたやってみたいですね。

○より詳しい感想は「ガールズ・ドット・ミュージック」でご覧いただけます。

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2017年4月 6日 (木)

はらはらなのか。

■映画「はらはらなのか。」 新宿 武蔵野館

相当前からツイッターのTLでよく目にしていた作品。ネットで予告編も見ていたし、劇場でやってる間に一回は行っておきたいな…ということで。

ストーリーはこんな感じ。
「冴えない子役女優・原ナノカ(原菜乃華)。自分が生まれると同時に亡くなった母・マリカ(松本まりか)に憧れて始めた道だが、オーディションは不合格続きで鬱屈とした日々を送っている。父・直人(川瀬陽太)の都合で田舎町に引っ越してきたナノカは、マリカが出演した舞台の再演とキャスト募集のチラシを見つけ、絶対に主役をやりたい!と事務所にも直人にも内緒でオーディションに挑むが…。」(公式サイトより)

完全にミュージカルということでもないんだけど、歌や踊りで表現される場面がけっこうある。音楽を担当しているチャラン・ポ・ランタン以外にも、吉田凜音さんらが出演していて、その歌がとても大事なシーンになっていたりもする。「映画と音楽のコラボ」をテーマとする「MOOSIC LAB」のコンセプトにも通じる作品だな~という印象。それもそのはず、「MOOSIC LAB 2015」でグランプリを獲得した酒井麻衣監督の最新作なのだ。そのへんの雰囲気が好きな人ならとてもおもしろく見ることができる映画だと思った。

物語は、中学生になったばかりの主人公が悪戦苦闘しながら、自分の進むべき道を見出していく…というもの。そこに家族(親子)というもう一つのテーマが加わっている。主人公のナノカは、親子を題材にした舞台を経験することで、「母がいない」という自らの欠落感を埋めていく。フィクションには現実を変える力がある。そのことを確信できた時、一人の女優が誕生する…。
同時に、本作はナノカを演じた原菜乃華さん自身が、女優になる覚悟を決めたという作品でもある。物語の中でも一人の女の子が女優への一歩を踏み出し、現実でも女優・原菜乃華誕生のドキュメンタリーになっている。虚と実が入れ子になって交錯する不思議な奥行きを生んでいる。

後で監督のインタビューを読んだら、本作に登場する劇中劇は実際に原菜乃華さん主演で公演された舞台であり、それにインスパイアーされて映画の脚本が生まれたのだそうだ。作品の成り立ちとしては、薬師丸ひろ子の『Wの悲劇』に近いともいえる。どちらも“女優誕生”を扱っているところが興味深い。そして、自分はこういう物語が好きなんだな~とも改めて感じた。

主演の原菜乃華さんはまだリアル中学生。当然だけどものすごくフレッシュ! 映画の序盤から後半にかけてどんどん成長していく表現が素晴らしい。ただ、この世代を見る目はどうしてもお父さん目線になってしまうね。作中のお父さん、本当に愛情を注いでいて、ナノカちゃんが嫁に行く時には絶対号泣だろうなあ…と思わずにはいられない。

重要な役である喫茶店店主を演じる松井玲奈さん、先輩役の吉田凜音さんもいい配役だった。そして、チャラン・ポ・ランタンの主題歌がどんぴしゃにハマってたね。欲をいえば、エンドロールのところでもう一発ミュージカルシーン(カーテンコール的な)があれば最高だったんじゃないだろうか。

(3年後くらいにはJK恋愛もの映画にひっぱりだこかな…)
Hara

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