光ってみえるもの、あれは
■「光ってみえるもの、あれは」 川上弘美 (中公文庫)
川上弘美さんの作品は「蛇を踏む」など、ちょっとファンタジーっぽい作風のものしか読んだことがなかったのですが、これはそういう展開じゃなさそうだったので、新鮮かな…と読み始めました。
ストーリーはこんな感じ。
「ああ、やっぱり僕は早く大人になりたい…。友がいて、恋人がいて、ちょっぴり規格はずれの「家族が」いて。いつだって「ふつう」なのに、なんだか不自由。生きることへの小さな違和感を抱えた、江戸翠、十六歳の夏。みずみずしい青春の物語。」(「BOOK」データベースより)
内容については、とても一言で説明できるものではないのでしない。といっても、大した事件は何も起こらないですよ。劇的な経験をして若者が成長していく…みたいな、ビルドゥングスロマン(教養小説)っぽさはないわけじゃないけど、簡単にレッテル貼られておわり、みたいな作品ではない。もっとクセ球っていうかね。
とにかく、ふわふわした独特の文体に引っ張られて、ついつい読み進んでしまう。周囲の登場人物たちもかなり変わってるけど、一人称の主人公も変わっているといえば変わってる。妙に“間”があいた感覚。現実なのに、現実感がないような。日本映画の題材にしたくなるね。たぶん、そうとう淡々とした映画になるような気がする。普通の人は退屈、というだろう。でも淡々とした映画もいいもんですよ…と思う。そう考えると、この小説もけっこう好きだったかもしれない。
ところで、高校生だった頃っていうのは、自分はこんなこと(=主人公の江戸君みたいなこと)を考えたことがあっただろうか。うーん、なかったような気がする。いや、もう忘れてるだけなんだろうか。今でもその日暮らしで、大して何も考えてないからな~。
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