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2007年2月 6日 (火)

野ばら

■「野ばら」 林真理子 (文春文庫)

林真理子さんの作品は「白蓮れんれん」以来。書店で見て、主人公の一人が宝塚の生徒…というのが気になったので読んでみました。何を隠そう、私は10年間ほど宝塚マニアだった時期があり、この2文字が出てくるとつい反応してしまうクセがまだ抜けません。(^v^;;

物語はこんな感じ。
「宝塚の娘役である千花は、歌舞伎界のプリンスと目される梨園の御曹司と、親友でライターの萌は歳の離れた映画評論家と、それぞれの恋を謳歌している。だが、花の盛りのように美しいヒロイン達の日々は、現実の退屈さや挫折、裏切りによってゆっくりと翳りを帯びていく。甘く苦い青春を描いた傑作恋愛長篇。」

いや~、これはおもしろかったです。ミステリでもアクションでもないのに、次から次へとページをめくらされて一気読み。ストーリーの展開が気になって、普段は本を読まない朝の通勤電車の中でまで読んでしまいましたよ。話がおもしろいだけでなく、文体や描写の的確さにも感心してしまう。林真理子さんが現代大衆小説の女王だということがよ~く分かりました。
また、宝塚関係の記述については、マニア歴10年の目でチェックしてもほぼ完璧。彼女が宝塚ファンだったというのはあまり記憶にないんだけど、以前、林真理子原作のコミック(「虹のナターシャ」)を宝塚で劇化して上演したこともあったし、内部及び周辺情報もいろいろ知って書いたんだろうな…と想像できる。宝塚そのものが舞台じゃないけど、宝塚を扱った小説の中ではリアル度トップクラスといっていいのでは。

さて、それとは別に読み終わって感じたのは、1980年代に田中康夫氏が多く書いていた世界との共通性だろうか。私はことあるごとに、昔の田中氏の作品のファンだったと書いてるのだけど、本作の「美しいヒロイン達の日々が、現実の退屈さや挫折、裏切りによってゆっくりと翳りを帯びていく…」という展開は、まさに田中康夫ワールドそのものなのである。田中氏の作品は、一瞬の情景を切り取ったような短編にその個性がもっとも現れてたのだけど、この林さんの「野ばら」はじっくり読ませる長編で同じ世界を描いており、田中ファンとしてはそのあたりが二重写しに楽しめた。
ちなみに、林さんは谷崎の「細雪」の世界を狙った…(平成版「細雪」)と宣伝文句にあったので、そっちもチェックしてみようかなという気になってたりもします。

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