パ・リーグ審判、メジャーに挑戦す
■「パ・リーグ審判、メジャーに挑戦す」 平林 岳 (光文社新書)
いよいよプロ野球も開幕…ということで、また今年も野球に割く時間が多くなってしまいそうです。そんな球春に審判をテーマにした本を見つけたので、さっそく読んでみました。
著者の平林氏は、日本のパ・リーグで7年間審判をつとめ、現在はアメリカのマイナーリーグで、メジャーの審判をめざして奮闘中の現役審判員。この本は、日米のプロ野球を審判の目を通して経験した著者による、野球(日本)とベースボール(米国)の違いや、普段あまり知られることのない審判の世界について書かれたものだ。
たしかに、野球ファンでも審判について知っていること…というと意外に少なく、本書に書かれている内容はとても興味深いものばかりだった。文章も平易で分かりやすく一気に読める。
まずおもしろいのは、日米の野球観の違い。大まかにいうと、アメリカでは「相手より多く点を取るゲーム」なのに対して、日本では「相手の点をいかに抑えるかのゲーム」だという。だから、アメリカでは、ストライクゾーンを広めにとって、打者が積極的に打っていかざるをえない仕組みになっているのだとか。逆に日本では、投手が配球(や球威)でいかに打者を抑えこむかが基本になっている…。確かにね。
また、審判への抗議にも違いがあるらしい。日本では、監督も選手も一緒になって審判に抗議する。しかし、アメリカでは、監督は「選手に抗議をさせないために」出てくるケースがほとんどなのだという。審判の権威が高く、選手が抗議すると退場になってしまうからだ。選手に退場されてはかなわない。そこでかわりに監督が来るのだそうだ(監督には抗議権がある)。
他にも、審判の日常や養成システム、マイナーからメジャーへ昇格するための厳しい選抜制度など、野球が好きな人なら誰でも興味を持ってよめる内容ばかりで、とてもおもしろかった。
それらを通じて一貫して書かれているのは、やはり日本の審判制度のあやふやさだろう。何でもアメリカの真似をするのがいいというものでもないだろうが、こと審判の制度だけに関しては、米国流の良さをぜひ導入してほしいと思った。その基本にあるのは、「スタジアムの中ではファン(観客)が一番」という考え方である(日本式は、選手が一番…なんだそうだ)。
おもしろく読みながら、考えさせられる一冊だ。
| 固定リンク


コメント