三国志 英雄ここにあり
■「三国志 英雄ここにあり」(上・中・下) 柴田錬三郎 (講談社文庫)
映画「レッドクリフ」を見に行く前に、ちょっと三国志をおさらいしておこう…と再読した作品。私の持ってた版の奥付を見ると、昭和56年(1981年)の第15刷となっていますが、もともとは昭和41年~43年(1966~68年)に週刊現代に連載された作品なんですねぇ。
内容はこんな感じ。
「後漢・霊帝の皇基衰えて天下は乱れ、劉備玄徳は、関羽、張飛と義を結んで黄巾賊討滅に起上った。都の洛陽で大将軍何進の後を襲うは、曹操か、袁紹か?河南には大軍を擁する菫卓が、遥か洛陽の空を望んでいた。治乱興亡…国造りの戦国絵巻を雄大なスケールで描く、興趣横溢の長編小説。吉川英治文学賞受賞」(Amazonより)
日本人作家による三国志というと吉川英治版が定番とされてるみたいだけど、こちらはいわゆる「柴錬三国志」。大きな違いはラストで、劉備の死後、孔明が出師の表をしたためて魏を討つために出兵するところで終わっている。著者は、このシーンが三国志の中でもっともカッコいいので、そこで終わりたかった…ということでこういう構成にしたのだそうだ。
従って、有名な「泣いて馬謖を斬る」のエピソードや「死せる孔明、生ける仲達を走らす」の五丈原の戦い…などは出てこないわけだけど、それ以前の蜀が建国されるまでの主な物語はすべて網羅されており、もちろん「赤壁の戦い」もばっちり描かれている。
改めて読み直してみると、細かいエピソードとかはけっこう忘れていた部分もあり、非常に新鮮に読めた。しかも大衆小説の名手・柴田錬三郎の筆なのだから、なおさらという感じである。ラストシーンに孔明の出陣をもってきたことでも分かるように、著者は孔明こそ真の英雄であるという立場を取っている。タイトルの「英雄」とは孔明を指しているのである。そういう意味では、この長い物語の後半の主人公はまさしく孔明であり、その神算鬼謀とダンディズムを堪能できる作品になっているといえるだろう。
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