チェ 39歳 別れの手紙
■映画「チェ 39歳 別れの手紙」 渋東シネタワー
「チェ 28歳の革命」に続く後編が公開されたので見てきました。
内容はこんな感じ。
「1959年にキューバ革命に成功した後、国際的な名声を得たチェ・ゲバラ(ベニチオ・デル・トロ)。しかし、ゲバラは変装した姿で家族と会い、最後の食事を済ませると、急に姿を消してしまう。そしてラテンアメリカの革命を目指しボリビアを訪れる…。」(シネマトゥデイ)
革命後のキューバでの要人としての地位を捨て、新たな戦いをめざすゲバラ。この映画はゲバラが南米ボリビアに潜入し、ゲリラ部隊を率いて戦った約1年間を、前編同様のドキュメンタリータッチで追った作品だ。
ただ、前編が後の国連本部での演説やニューヨークでのアメリカ人記者によるインタビューなどを交えてゲバラの思想や人物像を言葉で伝えようとした部分があったのに対して、後編の方はひたすらボリビアの山岳でのゲバラの戦いぶりだけをこと細かに描くことに徹している…という違いがある。
また、映画全体の展開も、前編がわずかな人数から徐々に仲間を増やし、最終的に首都を陥落させ革命を成就させる…という高揚感に満ちたものだったのに対し、この後編では相次ぐ戦闘でしだいに部下を失い、また農民や民衆からも孤立し、先の見えない状況の中で後退を続ける、といった閉塞感漂うものとなる。最後の戦闘で捕虜となったゲバラは、小さな寒村でボリビア政府軍によって銃殺される。
2作を通して見て強く印象に残るのは、やはりゲバラという一人の人間の存在感だろう。特に、何のためにそこまで戦うことにこだわったのかを考えさせられるはずだ。当時の状況の中でゲバラほど戦った者はいなかった。つまり、状況がゲバラを戦わせたわけではなく、ゲバラ自身の中に戦いに向かわざるをえない何かがあったのだということになる。
2本の映画はそれが何だったのかということについては何も語っていない。ただ、ゲバラがどのように戦ったのか、そしてどのようにして死んだのかだけを描いている。答を見る者に投げかけているという意味では、劇映画ではあるが限りなくドキュメンタリーに近いスタンスの作品といえる。
個人的には、書物で読んだだけで一通り理解したつもりになっていたゲバラ像が、この2本の映画を見ることによってモノクロからカラーの映像に変化したような気がした。やはり活字だけではゲリラ戦の実態はピンとこない部分がある。彼らがどんなジャングルで過ごしたのか、銃撃戦だけではなく食料を調達したり怪我人の治療をしたり…ということもまたゲリラの日々なのだ、ということに映像を見ることで改めて気づかされたのだった。その上で、ゲバラはなぜそんな戦いの中に身を投じていったのかを考えながら、もう一度書物を読むといいのかもしれない。
同時に、隆盛の前編から衰亡の後編へ…というトーンの変化には、平家物語やローマ帝国の興亡史などを見るような人間ドラマを感じるのも確かである。映画はメッセージよりもドラマだとするならば、ただその変化に心を震わせられたとしても、それもまた正しい見方ではないだろうか。
(とても娯楽作とはいえない内容にもかかわらずお客さんは意外と多かったです)

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