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2009年9月29日 (火)

TAJOMARU

■映画「TAJOMARU」 錦糸町 TOHOシネマズ

ほとんど予備知識なしだったのですが、ネット上の予告編を見て行ってきました。月末が近いので今月分の劇場招待券消化、くらいの感覚だったわけですが…。

ストーリーはこんな感じ。
「阿古姫(柴本幸)という許婚もいて将来を約束された畠山家の次男・直光(小栗旬)は、陰謀により家を追われてしまう。山中に逃げ込んだ二人は盗賊の多襄丸(松方弘樹)に襲われ、その際に阿古が言い放った言葉に直光は驚く。すきをついて逃げ出した阿古を追う多襄丸を殺めてしまった直光は、死にゆく多襄丸から彼の名前を継ぐよう託される。」(シネマトゥデイ)

これは良かったな~。非常に好きな映画。冒頭の子供時代のシーンからすべての戦いが終わったラストシーンまで…緩急の効いた物語は密度たっぷり。それでいて見ていて長いという感覚はまったくない。もちろん、完璧とか完成度が高いとかそういう感じじゃなく、探せばアラもあるんだけど、全体的にものすごく引き込まれる雰囲気のある映画であった。
ストーリーは、芥川龍之介の「藪の中」という小説を下敷きにしている。これは、黒澤明監督の「羅生門」と同じである。女連れで旅をしていた武士が盗賊に襲われ…という、「藪の中」の出来事が物語のカギになるのは同じだが、本作はそこに「羅生門」とはまったく異なるオリジナルのストーリーを付け加えている。
このオリジナル部分がなかなか良い。幼馴染で一緒に育った4人の男女がからめとられていく運命の糸…という題材は、ひょっとしたらシェークスピアの劇などにあるのではないか、と思ってしまうような悲劇的な「宿命」を強く感じさせられるものである。そこに「藪の中」の意外性と人間の裏表について考えさせられるエピソードが重なってくるのだから、実に見応えがあるのだ。
演出・映像も、王朝物らしい格調の高い画面の中に、現代的な要素を非常にうまくはめこんでいる。現代語のセリフ回しが不思議と気にならないし、中盤のロック系の音楽やパンクっぽい衣装…などもすんなりと受け入れられる。逆に、王朝物につきものの亡霊や呪術…といった要素は一切といっていいほど入ってこない。まあ、このへんは好みもあるだろうが、個人的には非常に好印象であった。
キャストもそれぞれ良かった。主演の小栗旬は、決して格好が良いだけの役ではない直光をしっかりと演じていている。ヒロイン役の柴本幸は、個人的にはノーマークだった女優さんだけど、それだけにとても新鮮に感じられた。凜とした美しさがあったと思う。敵役に田中圭というのも意外性があり、またその起用に十分応える不気味さを出していた。また、松方弘樹、萩原健一、近藤正臣…といった脇役の重厚な存在感も素晴らしかった。特に、白州での裁判の場面に突如現れる萩原健一の御所様は圧倒的であった。
一般的な評価はイマイチ得られていない作品のようだが、私のようにツボにくるケースもあると思う。個人的には王朝物映画、もっとバンバン作ってほしい気がしている。かなり自由度の高いジャンルではないだろうか。

(エンドロールにB'zの主題歌。ここだけは、ややとってつけた感がありましたが)
T2

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