« waffles、ワゴンズ、東川亜希子 @Zher the ZOO | トップページ | 星村麻衣、森恵、山田タマル、堀下さゆり @SHUFFLE »

2010年4月 8日 (木)

マイレージ、マイライフ

■映画「マイレージ、マイライフ」 日比谷シャンテシネ

英語っぽいタイトルなので原題かと思いきや、実はこれが邦題。もともとは「Up in the Air」。新聞の映画評が良かったので。

ストーリーはこんな感じ。
「仕事で年間322日も出張するライアン(ジョージ・クルーニー)の目標は、航空会社のマイレージを1000万マイル貯めること。そんな彼の人生哲学は、バックパックに入らない荷物はいっさい背負わないことだ。ある日、ライアンは自分と同じように出張で各地を飛び回っているアレックス(ヴェラ・ファーミガ)と出会い、意気投合するが…。」(シネマトゥデイ)

よく出来てる。ナイスミドルなジョージ・クルーニーが主演、軽快な展開にクスッと笑えるシーンも各所に盛り込んであり、中盤まではいかにもオサレ系映画らしいハッピーエンドを予想させる流れだったりする。
ところが…そう簡単には終わらないのだ。終盤にきてストーリーは意外な方向に。そして、けっこうホロ苦く考えさせられる結末となる。仕事とは、家族とは、人生とは…。もちろん、それらの問いに単純に答を出している映画ではないし、そもそも答えようがない問いだろう。しかし、この結末を見てからもう一度この映画のストーリーを思い返してみると、一つ一つのエピソードに少し違った意味と新たな味わいを感じることだろう。一見軽妙な映画と見せておいて、見終わった後に余韻を残す。なかなか鮮やかな脚本、演出ではないだろうか。

主人公の職業は「解雇通知面接の専門請負人」。アウトプレースメントをもう一歩押し進めたような究極のサービスで、実際にあるのかどうか分からないけど、アメリカならあっても不思議ではないような感じもする。とはいえタフな仕事である。いきなり解雇を通告され、茫然自失したり、怒り出したり、泣いたりする人たちと毎日向き合わないといけないのである。アメリカというと転職なんか日常茶飯事…みたいなイメージがあるけど、実は同じ会社に愛着と誇りを持って長年勤める人も多いことがよく分かる。ある意味で「人の気持ちが分からない」人間でないとやっていけない仕事かもしれない。
だから、映画の最初に出てくる主人公には似合っているのだ。家庭の温かみなんかとは無縁のところで割り切った生活をエンジョイしている。普通の感覚ではできないような仕事を長く続けて、見てるとけっこう「やり手」のようでもある。そんな彼から突如解雇を言い渡されて立ち尽くす人たち。しかし、職を失った彼らの苦境を救うのは、主人公があえて持たないようにしている「家族」の支えである。いったい本当に幸せなのはどっちなのだろうか。
そこで原題の「Up in the Air」が効いてくる。日本人には直感的に分かりにくい英語だけど、「飛行中」、さらには「宙ぶらりん」というような意味だろうか。主人公は「飛行機の中が自分の家」というくらい飛行機での出張が多いからそこにかけているのと同時に、家庭というしっかりした足場を持たない人生の頼りなさにも通じるタイトルだ。
といっても、単に家族バンザイの映画というわけでもない。主人公の妹は結婚を控えているが、その許婚の男は婚礼直前になって結婚生活への迷いを語る。さらに姉も結婚しているものの半分別居状態だ。家族に支えられて失業に耐える人もいれば橋から身を投げてしまう人もいる。正解なんてないし、家族を維持していくのだって相当な努力が必要なことなのだ。
ラストシーン、主人公が新たな出張のために飛行機に乗り込んでいく。人の気持ちを垣間見てしまった彼は、また元のようにバリバリと人の首を切っていくことができるのだろうか。そして、それよりも余計な荷物を持たず地に足のつかない旅のような生活を続けられるのだろうか…。

(アメリカっぽい話であると同時に現代の日本に置き換えてもそのままいけそうな話でもある。まあ飛行機での出張はここまで多くはないだろうけど)
My


|

« waffles、ワゴンズ、東川亜希子 @Zher the ZOO | トップページ | 星村麻衣、森恵、山田タマル、堀下さゆり @SHUFFLE »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/89663/48029799

この記事へのトラックバック一覧です: マイレージ、マイライフ:

» 映画<マイレージ、マイライフ> [美味−BIMI−]
彼の名前は、ライアン・ビンガム。 1年で322日出張し、 その飛行距離は月よりも遠い35万マイル。 みんなが嫌がる出張生活も、 彼にとっては寛げる我が家のようなもの。 この文句に惹かれて、見に行った映画でした。 旅行好きのみゅうみゅうは、半分以上は、 飛行機の上から色々な町が見れる!^^!ってのが魅力的だったのです。。。 (見たコトも聞いたコトも無い街もいっぱいでした^^v。) もちろん、『JUNO/ジュノ』で、 その才能を高く評価されたジェイソン・ラ... [続きを読む]

受信: 2010年4月 9日 (金) 12時29分

« waffles、ワゴンズ、東川亜希子 @Zher the ZOO | トップページ | 星村麻衣、森恵、山田タマル、堀下さゆり @SHUFFLE »