ふたたび swing me again
■映画「ふたたび swing me again」錦糸町楽天地シネマ
ポスターにトランペット吹いてる写真があったので、「おっ、ジャズをテーマにした映画かな…」と気になってました。錦糸町の近くまで行く機会があったのでそのついでに。
ストーリーはこんな感じ。
「ハンセン病の療養所を50年ぶりに退院した健三郎(財津一郎)を迎えた貴島家。大学生の大翔(鈴木亮平)には、祖父が生きていたことは初耳だった。しかも、その健三郎が幻のジャズバンド『COOL JAZZ QUINTETTE』のトランぺッターだったことを知る。ある日、バンド仲間を探す旅に出ると言い出した健三郎に、大翔はついていくことになり…。」(シネマトゥデイ)
ジャズというよりは、ハンセン病患者への消えない差別を主題にした作品。ごく平凡な大学生の主人公の前にいきなりハンセン病の元患者である祖父が現れる…というストーリーは、この映画を見るすべての人に、「あなたの身近でもこういうことがあるかもしれない。その時、あなたならどう行動しますか?」と問いかけているようだ。
ただ、あまりシリアスな話になりすぎても最後まで見続けられないので、祖父が昔のバンド仲間を訪ねて歩くというロードムービー仕立てにしてある。画面や演出のスタイルはなんとなく昔の日本映画風。垢ぬけないといえば確かにそうなんだけど、非常にまじめに作っている作品なので、そこはあまり気にならなかった。
ただ、こういうまじめな映画ほど、細かいところまできちっと話のつじつまがあっててほしいと思うのは私だけだろうか。そこで、多少気になったところをいくつかあげておこう。
まず、主人公の父・良雄(陣内孝則)は、自分の父親・健三郎のことをどうやって知ったのだろうか。良雄が生まれた時には、健三郎はすでに療養所に入所しているし、母親の百合子(MINJI)も良雄を生んですぐに亡くなったという設定である。つまり、良雄が父親のことを知るとしたら、祖父母(百合子の両親)から聞く以外にはないことになる。
しかし、百合子の両親というのが、ハンセン病にまったく理解がなく、百合子から生まれたばかりの赤ん坊を無理やり引き離して抱かせもしないし、亡くなった後も家のお墓に入れないという徹底ぶりである。実の娘にそこまでするのに、後になって良雄に健三郎のことをちゃんと話したとは考えにくいではないか。ここは何らかの説明が欲しかったところだろう。
次に、健三郎が再会する昔のジャズ仲間だけど、完全にボケてた老人が急に復活したり、伝言のメモをちらっと見ただけで50年前のバンドが復活ライブをやることを完全に理解したり(しかも場所も日時も分かってしまう)…と、ちと無理のある展開が多かったかな。最後のライブのシーンも強引といえば強引で、主人公が飛び入りで演奏できてしまうための何らかの伏線も欲しかった。
本作は、原作の小説を映画化したものなので、そっちにはもっと詳しく書かれているのかもしれない。上映時間の制約などがあって脚本的にカットされたのだろうけど、このあたりはやはりきっちりしててほしい部分だなという気がした。惜しい感じである。
(「COOL JAZZ QUINTETTE」は主人公に非常に大きな音楽的影響を与えたバンド。祖父がそのメンバーで、自分と同じトランペットを吹いていたことを知ったら、そこはもっとリスペクトする態度になってもよかったんじゃないかな)

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