9回裏無死1塁でバントはするな
■「9回裏無死1塁でバントはするな 野球解説は“ウソ”だらけ」 鳥越規央(祥伝社新書)
書店で目にとまったので。新書だしサクサクッと読めそうだなと買ってみました。
内容はこんな感じ。
「アナウンサーや解説者が、まことしやかに述べる『野球のセオリー』。しかし、それらの戦術やプレーには、はたして合理的な理由があるのだろうか。こうした疑問に、統計学的な観点から答えようとするのが、本書で紹介する『セイバーメトリクス(野球統計学)』である。従来の『勘』や『感覚』に支えられた常識を覆す意外な『真実』が、データから見えてくる。」(「BOOK」データベースより)
表題にもなっている「送りバントの有効性」。本書によれば、無死一塁の時、そのイニングに得点できる確率は「41.2%」である(日本プロ野球の2004年から2010年のデータから計算)。しかし、それが送りバントによって一死二塁になった場合、得点確率は「40.5%」と逆に下がってしまうのだという。もちろん、その差はわずか「0.7%」でしかない。しかし、少なくとも送りバントを行うことで大きく有利になるわけではない…というのは間違いなさそうだ。
ところが、今年のプロ野球を見ていても、まだ開幕して数試合だというのに、無死一塁からバント作戦をとるケースがけっこう多いことに改めて気づく。スコアラーのいないチームなんてないぐらいデータ野球が浸透しているのに、なぜこのあたりは変わらないのだろうか。非常に不思議である。ひょっとしたら、無死一塁から普通に打たせて凡退だった場合、「無為無策」と非難されるのが嫌で、「いろいろ作戦をやってますよ」というアリバイづくり野球になってたりするのだろうか。
…とまあ、野球ファンなら非常に興味深いデータがたくさん載っていて楽しめる本だった。新書なので、ほんのサワリだけという感じなのが残念なくらいで、もっと分厚い研究書みたいな本であっても読んでみたい気がした。
セイバーメトリクスといえば、メジャーリーグでは今季から松井秀喜選手がプレーしている「オークランド・アスレチックス」が有名だ。松井獲得の裏にセイバーメトリクスのデータがあったのか…と思うと、もっと詳しく知りたいと思えてくる。
また、日本プロ野球について、本書は2010年までのデータを使っているので、当然直近の優勝チームである中日とソフトバンク、さらに日本シリーズを制したロッテの事例がたくさんとりあげられている。2010年の打者成績で中日の和田選手がいかに強打だったか、またリリーフ投手でも中日の浅尾・岩瀬投手らがいかに好成績だったか…などが、セイバーメトリクス的にも証明されていて、ドラゴンズファンとしても楽しく読めた。
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