太田裕美白書
■「太田裕美白書」 太田裕美(PARCO出版)
初版は2000年8月。買った当時は一通りざっと読んだ(というか見た)だけだったのですが、もう一度ちゃんと読んでみようかな…ということで。
内容はこんな感じ。
「『私にとって歌うことは唯一の魂の浄化作業なのかもしれない』 そう語る著者が、歌手として、女性として、『雨だれ』でデビューしてからの26年間の軌跡を、未発表を含む多数の写真とともに振り返る。」(「MARC」データベースより)
太田裕美のデビューは1974年。私もオタク第一世代でけっこう古いんだけど、さすがに太田裕美はリアルタイムではちゃんと聴いてはいない。ライブで見たことがあるのは一度だけ。大阪であった何かの公開番組のゲストで、1980年代の初頭だったと思う。ピアノの弾き語りで歌っていた。曲が何だったのかは覚えていない。
彼女の黄金期は、やはり作詞・松本隆、作曲・筒美京平との「ゴールデントリオ」による作品を連発していた1970年代だろう。1980年代になった頃にはすっかり「おなじみの歌手」の一人だったと思う。だから、ちゃんと聴いてはいない…といいつつも、代表曲はけっこう知っている。「雨だれ」「木綿のハンカチーフ」「九月の雨」「失恋魔術師」「さらばシベリア鉄道」…。
本書は、それらの曲がどういう流れの上で出来上がっていったのかがよくわかる内容になっている。アーチスト自身のインタビューや回想を元に構成した内容なので、評論本みたいな本格的な掘り下げはないけど、「なんとなく知っていた太田裕美」がより身近に、よりリアルに感じられる一冊といえるだろう。
巻末にはディスコグラフィーとともに、太田裕美をつくったキーパーソンの一人である松本隆のインタビューやファン代表、評論家からの寄稿などが収録されていて、これがまたけっこうおもしろい。その中で、松本隆が「『木綿のハンカチーフ』をつくっていた頃から、日本のクリエイティブはずっと女子高生がターゲット。だから子供向けの文化しか育たない…」みたいな発言をしている。「木綿の…」は1975年の作品だ。そして今でも「女子高生がターゲット」というのはどうやら変わっていない。40年近くたつのに…。
ちなみにこの発言が出てきたきっかけは、結婚して子供が生まれても歌い続けている近年の太田裕美さんはどうですか…という質問に対して、アイドル的なアーチストが年齢を重ねても、ファンも同時に齢をとってるんだから、年齢相応の音楽をやっていけば自然に受け入れられるはずなんだけど…という流れで出てきたものだ。
このインタビューから10年。彼女は今も現役アーチストとしてライブ活動なども積極的に行っている。つまり、1970年代から2010年代まで、その活動は足かけ5つのディケイドに渡る。これってアーチストとしては最高に幸せなことではないだろうか。もちろん、こんなしっかりした「白書」が出版されていることだけみても、本当に多くの人から愛されていることがわかる。
…というわけで、読了と同時に唯一持っているCD(ベストアルバム)を聴き直してみた。これまでは70年代のヒット曲中心にしか聴いてなかったんだけど、本書を読むと80年代のさまざまなチャレンジの結果生まれた曲にもがぜん興味がわいてくる。おもしろい。太田裕美、再発見…の気分かな。
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