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2011年6月 1日 (水)

阪急電車 片道15分の奇跡

■映画「阪急電車 片道15分の奇跡」 新宿バルト9

5月最終日ということで。この映画の原作は、有川浩さんの同名の連作短編集(未読)。ただし「片道15分の奇跡」というサブタイトルは映画独自のもののようです。

ストーリーはこんな感じ。
「阪急今津線の車両内。白いドレスを着て結婚式の引き出物を抱えた女性(中谷美紀)に、見知らぬ老女が声をかける。一方、暴れる彼氏を前に動揺する若い女性(戸田恵梨香)。降りる彼を追う彼女にもまた、老女が声をかけるのだった。」(シネマトゥデイ)

「阪急今津線」は、西宮北口から宝塚までの短いローカル私鉄線。私も以前、大阪に住んでいた頃にはよく乗ったもので、それが原作を読んでないのに本作を見てみよう…と思った直接の動機だったりする。
当時、私が利用していたのは基本的に週末。だから、この映画のように学生がたくさん乗り降りするということはなく、西宮北口から乗ってくるのは大体、阪神競馬場(最寄駅は仁川)に向かうおっちゃん達と宝塚の劇場に向かう女性の皆さんだった。最初はけっこう混んでるんだけど、競馬新聞を読みふけるおっちゃん達が仁川でどっと降りると余裕ができる。車内の女性比率が一気に高まり、宝塚歌劇を見に行くウキウキ気分も盛り上がったものだ(このブログでも何度か書いてるけど、当時宝塚ファンだったのです)。
ちなみに、大阪から宝塚へ行くには「阪急宝塚線」という直通の路線もあるけど、西宮から今津線乗り換えの方がわずかに早いというのもあって、こっちを利用することの方が多かった。しかも終点の宝塚まで行かずに、一つ手前の宝塚南口で降りるのが通。劇場は両駅の中間ぐらいにあるから、通り越してまた戻るより無駄がないというのもあるし、南口から宝塚大橋を渡って劇場に向かう道は寮住みのタカラジェンヌと同じ出勤ルートである…というミーハーな理由もあったりして。
で、劇中で中谷美紀さんが乗ってくる駅が、その宝塚南口。つまり、結婚式は宝塚ホテルで行われてたのかな…とか、非常にリアルに作られてる映画である。究極のご当地映画という感じなので、今津線沿いに住んでる人とかは相当盛り上がれるだろうと思う。阪急のグループ会社である東宝による沿線プロモーションビデオといってもいいかも。
ただ、全体的には連作短編集を一本の映画にしてるせいか、エネルギーが分散してて山場感がまるっきりない。宮本信子さんのおばあさんとか魅力的な人物も出てくるんだけど、いまいち生かし切れてない印象。大学生オタクカップル(勝地涼+谷村美月)のエピソードなんて、わざわざ映画化するほどのもんじゃないしなあ…。DV男とかいかにも関西なおばちゃん軍団とか、人物造形も類型的で奥行きが感じられなかった。あと、安めぐみさんのキャスティングはイメージ的にはハマってるんだけど、なんか気の毒でもある。
「片道15分の奇跡」と銘打ってるんだから、最後に登場人物全員のエピソードがパズルみたいに奇跡的につながってあらゆる伏線すべて回収…というのもちょっと期待してたんだけど、結局普通に終わってしまった感じ。
そんな中、出演者では宮本信子さんのおばあさんはとても印象的。孫にも敬語でしゃべる品の良さの裏に実は気の強さも隠し持っている。その孫役の芦田愛菜ちゃんの芸達者ぶりにも感心させられる。

(10月なんだから普通何か羽織ってくるだろう…とか突っ込みどころも意外と)
Han

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