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2016年9月

2016年9月29日 (木)

ハドソン川の奇跡

■映画「ハドソン川の奇跡」 渋谷 TOHOシネマズ

クリント・イーストウッド監督作品で評判も良いみたいなので。平日の昼間の回を見たにもかかわらず、ほぼ90%くらいの入りでしたね。

ストーリーはこんな感じ。
「2009年1月15日、真冬のニューヨーク。ベテラン操縦士サレンバーガー機長(トム・ハンクス)は、いつものように操縦席へ向かう。飛行機は無事に離陸したものの、マンハッタンの上空わずか850メートルという低空で急にエンジンが停止してしまう。このまま墜落すれば、乗客はおろか、ニューヨーク市民にも甚大な被害が及ぶ。極限状況で彼が下した決断は、ハドソン川への着水だった…。」(シネマトゥデイ)

有名な「着水事故」をもとにした実話もの映画。離陸直後に鳥がエンジンに飛び込むという不測の事態が発生。空港に引き返すこともできず、ハドソン川に見事な着水を決めるまでの時間はわずか「3分少々」。きわめて短時間に起こったことがクライマックスであり、映画化するのがけっこう難しい題材といえるだろう。したがって、事故後に「着水の判断は正しかったのか?」と事故調査委員会のようなところで取り調べを受け、判断が妥当だったことが無事証明されるまで…がセットの物語となっている。

見終わっての印象は、実話ものらしく必要以上の脚色を施さない、比較的「渋い」映画という感じかな。でも、派手さがない分、機長をはじめとする乗員たちの誠実でプロフェッショナルな仕事ぶりがきちんと伝わってくる。同時に、真面目な人柄だからこそ、事故後の調査で、「本当に自分の判断は正しかったのか?」と悩んでしまった部分もありそうだ。緊急時には冷静で力強い対応を見せ、市民からは英雄視された機長も決してスーパーマンではなかった。そんなスーパーマンではない普通の人がなしとげたすばらしい仕事を通して、本作は「人間への信頼」を描き出している。波乱万丈のストーリー展開があるわけではないが、じわじわ味の出てくる作品だと思った。

実話もののおもしろさは、あまりよく知らなかった歴史的事件や出来事の裏側を知り、リアルな映像で追体験できることだ。本作でもいろいろ興味深いところがあった。

■空港の管制官が、「着水する」という機長からの無線を聞いた瞬間、「ああ、これで全員助からないだろう…」と絶句するシーンがある。われわれは「無事着水」の事実を知っているから、「着水うまくいってよかったね」と気楽に思っているが、この管制官の反応を見ると、一般的に着水が成功する確率はかなり低いことがわかる。その意味でも機長の操縦は神がかり的な「奇跡」だったのだ。
■旅客機というものは全エンジンが止まっても、案外飛べる(滑空できる)ものなのだな…というのも新発見だった。後半のシミュレーションで出てくるが、エンジン停止と同時に引き返せば、ちゃんともとの空港に戻ることも不可能ではないのだ。
■着水すると当然だが水がザブザブ入ってくる。このへんの臨場感もなかなかのもの。真冬のニューヨークの川は相当冷たいはず。飛び込んで心臓発作などを起こした人がいなかったのも「奇跡」かもね。
■非常事態のマニュアルがよくできていることにも感心させられた。ニューヨークのど真ん中という場所も良かったのだろうが、着水するとほどなくフェリーや水難救助のヘリなどがどんどん駆けつけてくる。頼もしい限りだ。9・11の同時多発テロ以降、より態勢が整えられているというのも大きいのだろうが。
■また、空港の担当管制官は事故発生後、すぐに身体検査をされ、別室待機となる。アクシデントが進行中にもかかわらず、同時に事故後の検証・調査のための準備も行う手際のよさ。いろんな事故や事件を経験してきた業界ならではだろう。なかなかここまで出来ている業界は少ないような気がする。
■事故後の対応ということでは、「着水成功で全員無事!」というところまでしか知らなかったので、機長の判断の是非が問われていたこと自体興味深く見た。「終わりよければすべて良し」で片づけてしまわず、きちっと「もっと良い策はなかったのか」を検証しようとする姿勢はいかにも米国的である。日本だと「空気読め」になってしまいそうだが、そこであえて「空気を読まない」人がしっかりいるところが、アメリカの強みなんだろうなという気もしたね。
■もっとも、その背景には「保険」の問題があるという指摘が映画の中でもされている。たしかに着水で機体は水没してしまった。当然、保険がかかっているはずだが、「空港に引き返せたはず」となれば保険金の支払額も大きく変わってくるのだろう。これにも非常に説得力がある。
■エンドクレジットでは、機長をはじめ乗員、乗客など本物の関係者が登場している。それを見ると、主要人物に関してはヘアメイクなどかなり本物に近づける工夫をしているようだ。それだけ米国ではこの事故の関係者はよく知られた有名人なのだろう。

(予告編はちょっと煽りすぎかな。でも地味だと見る気にならないし…難しいところ)
Had

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2016年9月25日 (日)

レッドタートル ある島の物語

■映画「レッドタートル ある島の物語」 新宿 バルト9

スタジオジブリ作品ではありますが、マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督をはじめフランス人スタッフによって制作された長編アニメ映画。ジブリは鈴木敏夫氏がプロデュース、高畑勲監督がアドバイザーとして関わっているようです。以下、超ネタばれありの感想となります。

ストーリーはこんな感じ。
「吹き荒れる嵐の中、海に投げ出された男は、かろうじて生き残り、見知らぬ無人島に流れ着く。彼は力を振り絞って何度も島から脱出しようとするが、その度にまるで見えない何かに操られるように島へと連れ戻される。万策尽きてしまった男の前に、ある日、一人の女性が姿を現す…。」(シネマトゥデイ)

予備知識としては予告編を見たくらい。あと、カンヌ国際映画祭の「ある視点部門」で特別賞を受賞しているということで、エンターテインメントよりは芸術性、作家性に振った映画なのだろうな…ということは予想していた。たしかに、全編にわたって具体的なセリフが一切なく、すべて映像と音響・音楽だけで見せていくスタイルはそんな雰囲気。ただ、物語は寓話性の高いものながら、難解さなどはなく、むしろわかりやすい。個性的かつ美しい映像で一気に見ることができる。非常に印象的で、見終わった後に余韻の残る作品だと感じた。

一言でいえば、「ウミガメの化身に魅入られた男の物語」といえるだろう。島に漂着した男は、いかだを組んで脱出しようとするが、そのたびに大きなウミガメに邪魔される。怒った男は、島に上陸してきたウミガメを殴りつけ、しまいにはひっくり返して日干しにして殺してしまう。ところが、死んだと思ったウミガメはいつの間にか、人間の「女」に姿を変えていた。男はその女と一緒に島で暮らすようになる…。

このあたりの展開は日本の民話を思わせるような流れだと思った。ある意味でジブリっぽいともいえる。しかし、女は男が殺したウミガメの化身である。「そのうち、この女に取り殺されるんじゃないか?」と見ている側は心配で目が離せない。相手を油断させておいて復讐するというのも、なんとなく民話にありそうな構図だからだ。

ところが、女は男を取り殺すどころか、子供まで設けて仲良く暮らしていく。いろいろな事件も起きるのだが、数十年後、年老いた男は女に見守られながら静かに息を引き取る。男の死を看取った女は、やがて元のウミガメの姿に戻り、静かに海へと帰っていくのだった…。

このラストシーンを見て、ようやく気づくわけである。この物語は、男に恋したウミガメの狂おしいまでの独占欲の成就を描いた究極の「恋愛映画」だということに。ジブリらしい寓話的世界観を借りてはいるが、その根底にはやはり恋愛大国フランスならではの、狂気と紙一重といってもいいほどの熱い恋情が仕込まれていたのだ!

たしかにそう考えると、すべてに納得がいくのである。嵐の海で男を助け、島に導いたのもおそらくウミガメだろう。「あら、いい男がいるわ!」と一目ぼれしたのではないか。では、なぜ人が住む陸地に送り届けずに、絶海の孤島に男を連れていったのか。ウミガメは惚れ込んだ男を「飼育」してみたくなったのではないだろうか…。

好きな相手を自宅に閉じ込めるなどして「飼育」するというのは、小説やゲーム、あるいは実際の事件まで、決して珍しいことではない。一般的には、男が少女を飼育するといったイメージだが、究極の恋愛的欲望としては、男女を問わないものではないか。絶海の無人島で誰にも邪魔されずに、好きな人と二人だけで暮らす…女性でも一度は夢見るシチュエーションだろう。たとえば「青い珊瑚礁」などもそういう憧れがベースになった映画だったはずだ。

では、男がウミガメを殺すくだりにはどういう意味があるのか。これはもう「死んだフリ」だったとしか考えられない。人間に姿を変えられる魔性のウミガメなのだから、死んだフリくらい朝飯前だろう。これによって、男にはウミガメを殺したという罪の意識が芽生え、女を捨てて島から脱出するという選択肢はなくなった。このウミガメ、こうしたものすごい恋愛テクニックも使うのである。

結果的に男は生涯島に残り、死んでいった。男は不幸だったのか? この映画にはセリフはないから、言葉ではっきり語られることはないが、むしろ幸せだったのかもしれない…という気がするエンディングとなっている。拉致・監禁の被害者ともいえる男に、最後まで被害者意識を持たせていない。いわば完全犯罪だ。
しかも、ウミガメはそれほど恋した男に殉じるわけではなく、海へ帰っていく。次の恋をもう探しているのかもしれない。「亀は万年」という言葉もあるくらいだから、この島で飼育した男はこの物語の主人公が初めてではないと考える方が自然だろう。時代を超えて、いつの世にも恋に生きる女…それを象徴するウミガメなのだ。

原題は、フランス語で「LA TORTUE ROUGE」(ラ・タートル・ルージュ)。赤いウミガメという意味だが、やはり「ルージュ」という言葉は、女性性の象徴としての口紅のルージュと無関係ではないだろう。若干コワイ話だが、民話や寓話には、人間のコワイ本質を伝える役割もある。恋愛の究極は決して楽しいだけのものではなく、狂気にも通じるものがあり、しかも人はそれを美しいとさえ感じることもある。見終わった後、そんな思いが残ったのだった。

(島の形もなんとなくウミガメっぽかったですよね)
Red

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2016年9月23日 (金)

寺嶋由芙 @池袋サンシャインシティ

■本館に追加したライブレポート

9/22 寺嶋由芙 池袋 サンシャインシティ(噴水広場)

9/21リリースのメジャー1stアルバム「わたしになる」のプロモーションイベント。フリーイベントにもかかわらず7曲も歌ってくれる…という聴き応えあるステージ。テイチクエンタテインメントからのリリースということで、テイチクのゆるキャラ「こぶしまる」もゲスト出演。それにしても何にでもゆるキャラっているもんだねえ!

○より詳しい感想は「ガールズ・ドット・ミュージック」でご覧いただけます。

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2016年9月21日 (水)

GALETTe @渋谷aube(9/19)

■本館に追加したライブレポート

9/19 GALETTe 渋谷 aube(ワンマン)

GALETTeの定期公演「RISING Vol.4」。祝日の昼間のライブ。お客さん多めで盛り上がってたね~。入場が定刻ギリギリだったこともあって後方から。気になったのは「ういたん作詞の新曲」のタイトルをなかなか言わないこと。終演後ツイッターを見たら、かなり多くのファンがその曲のタイトルを気にしていたよ。あまり焦らさないでいただきたいものである。

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2016年9月20日 (火)

空中メトロ、sympathy、chocol8 syndrome、ケトル @渋谷CLUB 乙

■本館に追加したライブレポート

9/18 空中メトロ、sympathy、chocol8 syndrome、ケトル 渋谷 CLUB 乙(kinoto)

空中メトロのレコ発ツアー「ワンダーランドの地図 リリースファイナルライブ」。お目当ては約2カ月ぶりのシンパシー。それ以外の3組も女性ボーカルのバンド(しかもすべて初見)ということで、とても新鮮に聴けましたね。お客さんの集まりもいい感じで、激混みでもなく、寂しくもなく。実は当日の朝、急遽予約を入れて行ったのですが、そんな風にさくっと行けるところもこういうライブの良さかも。

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2016年9月14日 (水)

本館にCDレビュー追加(9/14)

■追加したCDレビュー

浜崎容子 「BLUE FOREST」
Magic, Drums&Love 「Love De Lux」
TWEEDEES「The Second Time Around」
GALETTe 「ソニックファイター」
寺嶋由芙 with ゆるっふぃ~ず 「いやはやふぃ~りんぐ」

今回は今年6~7月頃に買った盤を中心に。GALETTeとゆっふぃーは少し(かなり)遅れて購入したので、このタイミングになりました。初レビューはMagic, Drums&Love。ただ、中心メンバーはかつての住所不定無職なので、まったくの新規という感じではないかも…。この更新で9月になってから15作分のレビューを書いたことに。あとどれだけ伸ばせるか?

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2016年9月10日 (土)

本館にCDレビュー追加(9/10)

■追加したCDレビュー

Shiggy Jr. 「恋したらベイベー」
Negicco 「ティー・フォー・スリー」
春奈るな 「Ripple Effect」
Cupitron 「銀河鉄道999」
杏窪彌 「ジャイアントパンダにのってみたい」

今回は今年5月頃に買った盤を中心に。初レビューは杏窪彌(アンアミン)。ライブは2012年頃から見てたのですが、CDは今回やっと買った感じ。聴いてたら前作も欲しくなってきました。おなじみのアーチストではNegiccoのアルバム! 聴き応えありましたね。彼女たちの今のところのベストではないでしょうか。

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2016年9月 8日 (木)

本館にCDレビュー追加(9/8)

■追加したCDレビュー

UKO 「Saturday boogie holiday」
Faint★Star 「ネヴァエバ」
Doll☆Elements 「Dear future」
ラッキーオールドサン 「Caballero」
Negicco 「圧倒的なスタイル(NEGIBAND ver.)」

約3カ月ぶりのCDレビュー更新…というわけで4月頃リリースの盤が中心。もう秋だというのに…。今回はじめて感想を書いたのはUKOさん。「クニモンド瀧口プロデュース」が気になって買ったのですが大正解でしたね。なかなかタイミングがあわないのですが、ライブでも聴いてみたいアーチストです。

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2016年9月 7日 (水)

シン・ゴジラ

■映画「シン・ゴジラ」 新宿 TOHOシネマズ

大ヒット中の映画。8月は角川映画で忙しかったのと、劇場が混んでいた…ということもあって、公開から2カ月近くたってから、ようやく見てきた感じです。

ストーリーはこんな感じ。
「東京湾アクアトンネルが崩落する事故が発生。首相官邸での緊急会議で内閣官房副長官・矢口蘭堂(長谷川博己)は、海中に潜む謎の生物が事故を起こした可能性を指摘する。その後、海上に巨大不明生物が出現。さらには鎌倉に上陸し、街を破壊しながら突進していく。政府の緊急対策本部は自衛隊に対し防衛出動命令を下し、“ゴジラ”と名付けられた巨大生物に立ち向かうが…。」(シネマトゥデイ)

「シン・ゴジラ」については、いろんな人が感想、批評、考察、研究…とさまざまなレベルで文章を書いてネットなどで発表している。また、ラジオ番組などでも大いに語られていて、それらも耳にした。今回はネタばれを恐れずに、多くの情報を仕入れてから見に行ったので、「なるほどね!」というところは多々あったね。だから、新鮮さ、というか初見の驚き自体はあまりなかった気もするけど、非常に情報量の多い作品なので、そういう見方もありだったのでは…という気もしている。ネタばれしていても十分におもしろく見ることができた。

庵野監督作品を見るのは本作が初。当然エヴァンゲリオンについても知識ゼロである。さらに怪獣映画も、ちゃんと見たことがあるのはハリウッド版「ゴジラ」(2014年)くらい。過去のゴジラシリーズやガメラも未見で、テレビ版のウルトラマンを子供の頃に見た程度だから、過去のさまざまな作品と「シン・ゴジラ」を比較することができない。怪獣映画として非常に画期的とされる本作だけど、事前情報を得ずに普通にさらっと見てたら、そのへんのすごさについてはスルーしてしまっていたかもしれない。

そんな「ゴジラ」ど素人の感想を書いてみると、前半の「リアルさ」は評判になっている通り素晴らしかったのではないだろうか。民間人の避難が完了してないと自衛隊は「敵」を攻撃できない。うーん、やっぱりそうなのか…という感じで、改めてはっとさせられる。ということは外国軍が侵攻してきても、民間人を人質に取られたら自衛隊はお手上げ…?とか思ったり。

しかし、後半の「ヤシオリ作戦」の計画から実行までは「リアル」といえるのか。素直に見るとここは急激にご都合主義になってるような気もした。まったく未知の生命体といっているのに、その構造や弱点が比較的短時間でわかるのもそうだし、マキ博士があらかじめかなり正確にゴジラのことを研究していたというのもそうだ。思い切りリアルにというなら、ゴジラは猛威をふるうだけふるって、勝手に海に帰っていく…的な展開でもよかったのではないだろうか(ゴジラが象徴している「災害」とはそもそもそういうものである)。まあ、それだと映画的にカタルシスがないのかもしれないが。

【追記】 ゴジラが単なる自然災害ではなく原発事故の象徴だとすると、「放っておけば海に帰る」わけではないから、人の手で何とかしないといけない…というのは確かにある。

印象的だったのは、危機の真っ最中でも政治家や上級官僚たちは、つねに「ここで手柄をあげて将来は…」みたいな話をしていることだった。もちろん目の前の国難には集中しているのだが、同時並行的に誰が権力を握るのかという意識は片時も忘れない。一見、「えらく生ぐさいね…」という気もするのだが、考えてみるとこれは当然のことなのだ。政治家や官僚が自らの「理想」を実現するためには、まず「権力」を握らなければならない。権力がなければ理想は空論に終わってしまうのだ。その意味では、この映画が権力への指向を隠さずにはっきり描いているのは、たしかに「リアル」なことなのであろう。

(最初の川を遡上するゴジラはツチノコっぽいけど進化するとこんなにデカイ…)
Sing

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2016年9月 6日 (火)

中村綾、SAWA、ニーナシェルカ、武井麻里子、鈴木花純 @新宿Motion

■本館に追加したライブレポート

9/4 中村綾、SAWA、ニーナシェルカ、武井麻里子、鈴木花純(ex.テレジア) 新宿 Motion

「中村綾 presents "MUSIC SODA vol.2"」。ソロの女性シンガー/アーチスト5組が出演したライブイベント。そのうち3組が初見ということで新鮮で楽しかったですね。日曜の昼間(11時30分スタート)だったけど、最後はフロアの後ろまでほぼ埋まるくらいお客さんも集まってたしね。盛り上がってたけど暴走するような客は皆無。いい雰囲気でした。

○より詳しい感想は「ガールズ・ドット・ミュージック」でご覧いただけます。

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2016年9月 5日 (月)

早春物語 【角川映画祭】

■映画「早春物語」 新宿 角川シネマ

「角川映画祭」9本目。1985年公開で主演は原田知世。「Wの悲劇」の澤井信一郎監督が薬師丸ひろ子に続いて知世を「女優にした」作品として評価も高いのだけど、今まで見逃していました。このチャンスにぜひ…と。

ストーリーはこんな感じ。
「鎌倉北高校写真部所属の17歳の沖野瞳。母は数年前に亡くなり、父がもうじき別の女性と再婚することになっていた。春休みになり、春をテーマにした写真を撮るためひとり鎌倉の町を歩いていた瞳は、そこで梶川という中年男性と知り合う。徐々に梶川に惹かれていく瞳だったが…。」(allcinema ONLINE)

ひと夏の冒険…というのはよくあるテーマだが、本作は春休みの間に起こった出来事によって、一歩大人に近づいていく少女を描いている。出来事自体はごくプライベートなもので、スケールの大きい話ではない。だから「Wの悲劇」などに比べるとドラマチックさでは譲るものの、全体的にはとてもよくまとまった完成度の高い映画という印象。小品ながら佳品…という感じだろうか。

大人ぶりたがる主人公の背景には、やはり父親の再婚がある。家の中でなんとなく居場所がなくなりそうな気がしている彼女が、早く自立した大人になりたい…という願望を抱くのはごく自然な流れだろう。また、中年男の梶川がたまたま知り合った少女にかまけてしまうのは、社内政治に敗れて苦しい立場に置かれていることと無関係ではない。つかの間の現実逃避というところか。リアルではなかなか起こり得ないような「出会い」が成立してしまう理由が、不自然さなくさらっと描かれているところがよい。

クライマックスは梶川のホテルに押しかけた瞳が「私を抱きなさいよ!」と迫る場面だろう。しかし、「Wの悲劇」では薬師丸ひろ子にあっさり一線を越えさせてしまった澤井監督も、知世の場合はキスどまりである。これは薬師丸がすでに20代の大学生で、知世はまだ高校生だったことが大きいのかな。
ただ、カメラはしっかり彼女の身体性をとらえている。「時をかける少女」では、その肉体を意識させるシーンはまったくといっていいほどなかった知世だが、ホテルのバスルームに逃げ込んでしまうシーンで見せる脚のラインなどには、少女というよりも女性らしさといってもいい美しさがすでに備わっている。序盤の自室のベッドで寝ているシーンでも同じように脚が映っているが、その時の無防備な印象とはまた異なる身体性の表現のように思えた。脚フェチだからかもしれないが、そんなディテールもなかなかおもしろい。

ラストの成田空港の場面は、明らかに「探偵物語」(薬師丸ひろ子主演)にぶつけているシーンだろう。見送る側と見送られる側を逆転させ、キスシーンはなし。同じ赤川次郎原作で、若い女性と中年男の物語…というプロットも似た両作。「こっちの方がうまくやったぞ」という監督の対抗心なのだろうか。そういえば秋川リサが同じような夜の店に勤める役で出ているところも共通している。

オマージュ的シーンといえば、澤井監督自身の前作「Wの悲劇」を意識させるところもある。高木美保をワンシーンだけ出しているところ、そして、知世が原宿をぶらぶらするシーンで出てくるクレープ屋は、「Wの悲劇」で薬師丸が三田村邦彦を呼び出すオープンカフェと同じ場所?…と思ったのだけど、どうなのだろうか。
また、「Wの悲劇」では薬師丸の浴衣がサービスシーンだったけど、本作でも知世がスナックで松山千春の「恋」を歌う場面はサービスシーンといっていいだろう。同時に「♪それでも恋は恋」というキメのフレーズはこの映画の主題にもつながっている。

「角川映画祭」で30~40年前の映画を見て、時代感覚の移り変わりを感じたことは何度もあり、それぞれ感想に書いた。本作を今の目で見て思ったのは、個人情報をけっこうあっさり教えているなということ。80年代は世の中もそのへんにまだ無頓着だったんだな…と改めて感じる部分だ。また、飲酒運転や未成年飲酒・喫煙、タバコのポイ捨て…なども普通に描かれている。昔が大らかというよりも、今が建前の厳しい社会になっているのかもしれない。

そんな「角川映画祭」、好評だったようで12月にアンコール開催が決まったとのこと(期間は若干短縮)。今回見逃した作品もぜひスクリーンで見てみたいと思う。

(原田知世が歌う主題歌、音源は持ってないが憶えてた。テレビで聴いてたのかな)
Sous

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