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2017年4月11日 (火)

パッセンジャー

■映画「パッセンジャー」 渋谷 TOHOシネマズ

けっこう前から劇場で予告編を何度も見ていた作品。ドンパチ系じゃないSF映画もいいな…ということで。

ストーリーはこんな感じ。
「20XX年、新たなる居住惑星をめざし、5000人を乗せた豪華な宇宙移民船アヴァロン号は地球を後にした。到着までは120年。しかし、冬眠装置で眠る乗客のうちエンジニアのジム(クリス・プラット)と作家のオーロラ(ジェニファー・ローレンス)だけが目覚めてしまう。予定より90年も早く…。絶望的な状況を打破しようとする二人だったが…。」(公式サイトより)

巨大な宇宙移民船。SFにはよく登場するアイテムだが、その内部をつぶさに描いた作品は初めて見たかもしれない。なぜなら恒星間飛行には非常に長い年月が必要であり、その間は乗務員も乗客も人工冬眠している…という設定が一般的だからだ。みんな眠っている状況では物語にならない。しかし、一人だけ予定外に目覚めてしまったら…。これもまた宇宙を舞台にした「ロビンソン・クルーソー物語」といえるだろう。

宇宙でのロビンソン・クルーソー生活といえば、約1年前に見た『オデッセイ』もそうだった。しかし、同作が「DIYしながら救出を待つ」物語だったのに対して、本作は「高級ホテル並みの環境はあるものの救出は最初から望めない」という大きな違いがある。外部から隔絶され、たった一人だけの世界で、人は何を支えに生きていけばいいのか…? ここで生じる主人公の葛藤こそまさに「究極のロビンソン・クルーソー」のテーマかもしれない。SF好きとしてはかなりわくわくできるストーリーになっている。

そして後半、もう一人の乗客、オーロラが覚醒して以降の物語は、いわば「セカイ系」といっていいのではないだろうか。ジムとオーロラ、目覚めている人間がたった二人しかいない巨大宇宙船はそこだけで完結した「世界そのもの」。しかし、その「世界」は破滅の危機に瀕していることがわかる。「きみとぼく」の関係性がダイレクトに世界の命運を握る。前半はSF的な思索が中心であり、後半は一気にエンターテインメントとなる。バランスのいい作品でおもしろく見ることができた。

ただ、せっかくSF的設定が魅力の作品なのに、ちょいちょいご都合主義的なところがあるのは若干気になったかな。たとえば、小惑星のようなものに衝突して最初の事故が起こるのだが、重要なシステムには何重ものバックアップが用意されるのが当たり前ではないのか。設計が杜撰すぎる。また、バーテンダーやウェイターのロボットがいるのに、なぜ故障修理ロボットがいないのかも理解できない。万一システムが破損しても修理するロボットがいれば問題はなかったのである。

さらにいえば、目的地までの120年間起動する必要のない客室の全システムが、たった一人アクシデントで覚醒しただけですべて対応する…というのもありえないのではないだろうか。こういう現代人が考えても「ちょっとどうなの?」と思うような穴があると、SFとしての詰めの甘さを感じてしまうことになる。このへんはもっとしっかり練り込んでほしかったね。

逆に、登場人物が極端に少ないのに飽きさせない物語展開はなかなか良かった。主人公にうしろめたいところがあってハラハラさせられるところとかね。オーロラ役のジェニファー・ローレンスはとても魅力的で、「こういう女性と二人きりで暮らせたら…」という妄想刺激ドラマとしてもおもしろい。「ロビンソン・クルーソー」にも憧れるが、どっちが楽しいかといえば「青い珊瑚礁」に決まっているのだ。その意味では結末はファンタジーでもある。そんな気がした。

(この宇宙服の耐熱性がすごい。思わず「まじか!そうきたか!」と言いたくなった)
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