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2017年5月13日 (土)

PARKS パークス

■映画「PARKS パークス」 テアトル新宿

吉祥寺にある「井の頭公園」が100周年を迎えることを記念して製作された映画。自分でも土地勘のある地域が舞台なのと、主演・橋本愛さんだったら見てみたいな…ということで。

ストーリーはこんな感じ。
「吉祥寺で一人暮らしをする大学生の純(橋本愛)は、亡くなった父親の恋人だった女性・佐知子(石橋静河)を捜す高校生ハル(永野芽郁)に出会う。佐知子の孫・時夫(染谷将太)が探し出した遺品のオープンリールテープを再生すると、佐知子とハルの父・晋平(森岡龍)の歌声が録音されていた。純たちは途中までしか聴き取れないその曲を完成させたいと思うのだが…。」(シネマトゥデイ)

見る前から一つ疑問に思っていたことがあった。「井の頭公園」がテーマの映画なのに、タイトルが「PARKS」と複数形になっている。これはどういうことなのか? 井の頭公園だけにスポットライトを当てるなら「THE PARK」、あるいはシンプルに「PARK」でいいのではないか…。

しかし、映画を見ているうちにこの謎は自然に解けていった。「PARKS」とは、1960年代にこの公園で歌っていた晋平と佐知子、そしてサポートの健太(おそらく後の大家さん)を含めた「ユニット」の名前なのだと。音楽のグループ名なら複数形はごく自然だ。彼らが具体的に「PARKS(パークス)」を名乗るシーンはない。しかし、この映画が「公園と音楽」をテーマにしていることがわかってくると、そのことに何の疑問も挟む余地はないような気がした。

そして、晋平や佐知子たちの残した音楽を現代に引き継いだ純や時夫もまた「PARKS」なのである。いや、ひょっとしたら公園が生まれてからの100年間に井の頭公園で音楽を奏でたすべての人が「PARKS」なのかもしれない。純たちが付け加えた新しいサビのフレーズ、「♪Park Music~」という歌詞がそれを象徴している。多くの人が集まっては散っていく公園という場所。何もない空間だからこそ人の思いを受け止める容器となり、その思いは歌となって時代を超える。非常にロマンチックなテーマであり、公園の100周年記念にふさわしい物語といえるだろう。

というわけで題材はとても良いと思うのだが、映画としては(特に脚本に)整理されてない部分が目立ったかな。

そのうちの一つは「ハル」の扱いだろう。彼女は晋平の娘として実在しているようにも見えるし、自分たちの音楽を引き継いでほしいという初代「PARKS」の願いが凝って生まれたスピリチュアルな存在のようにも見える。これはたぶん後者だろう。物語の終盤、彼女が純のアパートから飛び出した時、何台もの自転車がその身体をすり抜けるように走っていく。自転車に乗っている人たちにはおそらく彼女の姿は見えなかったのだ…。だとしたら、ハルはあのままどこかへ消えてしまうだけでもよかったのではないだろうか。その後、ちょっとごちゃごちゃしすぎな気がした。また、ハルの書いた小説によって映画自体が「メタ」的な展開になる部分。あそこも意図がすっきりとは伝わってこないような…。

他にも、終盤に大家さんが亡くなって、奇しくも初代「PARKS」があいついで天国に召される展開。ここも別に死なさなくてもいいのにと思ってしまったり。出演者や劇中にたくさん流れる音楽などは良かっただけに軸になる脚本の詰めの部分が惜しかった。

逆に単純に楽しめたのは、何といっても井の頭公園を含む吉祥寺のご当地映画らしいところ。比較的メジャーな場所での撮影が多く、そこまで詳しくない人でも「あ、あの場所だ」とわかるのではないだろうか。ロケ地巡りとかしてもおもしろそう。ちなみに、キチフェスのシーンのライブハウスは「スターパインズカフェ」だったね。スカート・澤部氏の存在感にも思わずニヤリ…。

(ところで三人が収集した街や自然のサウンドは楽曲にどう使われたのだろうか)
Parks


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